第38話

 聖なる結界の周りのアンデットモンスターを倒してから休憩を取り、まだ魔力が最大まで戻していない魔導具に魔力を足したりしながら過ごしていると、太陽が完全に落ちて辺りは月明かりが雲の間から差し込む程度の闇に包まれる。


 「うわ、凄い地面から出て来てるな。」


 『それでも少ないと思うわ。アンデットキマイラに吸収された影響ね。ほら、ゴースト系のアンデットが多いわよ。』


 「これでも少ないのか……。」


 月明かりと焚き火で確保している視界だが、それでもかなりの数のアンデットモンスターが見える。


 これで今の俺の魔力感知を魔力3つ分で使用した結果、より広範囲のアンデットモンスターの魔力を発見して、これだけのアンデットモンスターを倒すのに時間が掛かるだろうと少しげんなりする。


 それでも今回はアンデットモンスターを倒すのも楽になったので問題は少なさそうだ。


 「さてと、やるか。」


 魔導具の力も借りて魔力を操作して聖気を1つ分作り出すと、俺は魔力ブレスの手甲に聖気を送って右手を構える。


 どの位置ならより多くのアンデットモンスターを倒せるのかを考えながら見回していくと、ここならと言える場所で立ち止まって聖気ブレスを構えた右手の魔力ブレスの手甲から放った。


 地面に潜って太陽をやり過ごしているアンデットモンスターの多くがレベル2以下のアンデットモンスターだ。


 その為、俺が放ち続けている聖気ブレスを浴びて多くのアンデットモンスターが浄化されて昇天していく。


 それでもやはりアンデットモンスターのレベルが3以上になると、聖気ブレスを耐えて生き残ってしまう。


 それに浄化されて昇天した結果、地面には多くのアンデットモンスターの魔石や少量のドロップアイテムが落ちており、アンデットモンスターの中には瀕死の状態でも魔石を吸収して回復しようとしているアンデットモンスターもいるみたいだ。


 「なあ、エリーゼ。アンデットをレベルアップさせてから倒すのはどう思う?」


 『異常なアンデットに進化する可能性もあるから止めた方が良いわね。』


 「そうなのか。」


 変な進化をしたアンデットモンスターと戦うことになる可能性がある以上はエリーゼとしては止めた方が良いみたいだ。


 でも今の俺には格下のレベル2以下のアンデットモンスターでは経験値がまともに得られない。同格のレベル3で経験値が1しか手に入らず、レベル4でようやく10経験値だ。


 それならレベルアップを意図的にさせながらアンデットモンスターを強化させたいが、それは止めて今も魔石を摂取しようとしているアンデットモンスターたちを通常の魔力弾で仕留めていく。


 聖気ブレスを受けてもまだ動いていた最後の1体のアンデットモンスターを倒した頃には、集まっていたアンデットモンスターが聖気ブレスで浄化された場所にダメージを受けながらも魔石を吸収しようと集まって来ていた。


 すぐに俺は聖気を聖なる腕輪オルゴーで魔力を変換して作り出すと、集まり出していたアンデットモンスターを聖気ブレスで一掃していく。


 左右から同時に集まって来ているアンデットモンスターに聖気ブレスを浴びせる為に、もう一度今度は俺自身の魔力を変換して作り出し、今度は先ほど放った方とは反対側から迫るアンデットモンスターたちに聖気ブレスを浴びせた。


 そのまま太陽が出ているうちに魔力を回復させた魔導具からも魔力を使って、聖なる結界の周りに集まっていたアンデットモンスターたちは聖気ブレスを浴びせることで一掃した。


 そうして聖なる結界の周りには大量の魔石や魔石に比べて少ないがドロップアイテムが無造作に地面に転がっている状況だ。


 俺はまだアンデットモンスターが集まってくる前に、聖なる腕輪オルゴーの中に現実世界で入れていた懐中電灯を使って魔石やドロップアイテムを拾える限りオルゴーの中に収納して行った。

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