第39話
アンデットオブアナザーワールドの世界で3日ほど草原でアンデットモンスター狩りを行ないながら過ごしていると、目に見えて昼間も夜中も遭遇するアンデットモンスターの数が減った。
これだけ減らせばもう充分だろうと、俺は草原を抜ける為に移動を開始する。
昼間に遭遇するアンデットモンスターも激減し、魔力消費を抑えた倒し方も既に見つけた俺は多くのアンデットモンスターを引き連れながら草原を疾走して進んで行く。
そして溜まり過ぎたアンデットモンスターを魔力ブレスの手甲の能力を使った聖気ブレスを2度浴びせて全滅させると、ドロップアイテムと魔石を回収して進む。
それを繰り返しながら夜になる前に聖なる結界を張り、聖なる結界に集まるアンデットモンスターを夜中の狩りとして倒す。
そんな事を繰り返し行なって3日目、ようやくただ草原が広がっていただけの景色が変わった。
それは遠くの方に石造りの壁が見えて来たからだ。草原の途中でも昔は村があったのでは?と思わしき場所もあったが、ここまで原形が残っている石壁を見て人類の文明が残っていたのには思うところがある。
「エリーゼ、あの場所を知っているか?」
『ハッキリとは言えないけど、あそこは交易都市ナバーラだと思うわ。』
そこからエリーゼから交易都市ナバーラの話を聞くことになる。
エリーゼがまだ生きていた時代にドワーフの国だけでなく、この草原は各国との交易路になっており、かなり賑わっていた独立都市の1つがこの交易都市ナバーラなのだという。
『そう、この都市も滅んだのね。』
「エリーゼ……。」
『大丈夫よ。さ、行きましょう。』
憂いを帯びた声色のエリーゼを心配するが、そんなエリーゼは空元気で進むように促す。
やはり自分の暮らしていた時とは違うことに思うことがあるのだろう。それもエリーゼの国よりも後方にあるのが交易都市ナバーラだ。
交易都市ナバーラが滅んだことにより自分の国が滅んだことをエリーゼは実感しているのかも知れない。
俺は遠くに見える交易都市ナバーラを目指して進んで行くのだが、ナバーラに近寄れば近寄るほどに遭遇するアンデットモンスターの数が増えていく。
それも昼間なのにも関わらずアンデットモンスターの数が増えているのだ。
その原因と思われるのは交易都市ナバーラを包むように濃い瘴気の影響なのだろう。
「エリーゼ、あんな不自然に瘴気って止まる物なのか?」
『いえ、それはないわ。濃い瘴気を生み出すアンデットか物があるのか、それとも瘴気の拡散を止めている物かアンデットがいる。この2つのどちらかでしょうね。』
あんな不自然なくらい押し留められている瘴気を見るに、そんな瘴気関連の魔導具や強力なアンデットモンスターがいるのが普通なように思う。
「アンデットだった場合はどうなんだ?強いのか?」
『そうね。もし、アンデットだった場合は強いわよ。最低でもレベル5は覚悟した方が良いわ。』
アンデットキマイラと同じレベル5のアンデットモンスターがいる可能性が高いならば、何かしらの罠を仕掛けるかして倒すのが楽だとは思う。
だけど、交易都市ナバーラに罠を仕掛けても上手く作動させられるのか自信がない。あれだけの瘴気があれば、集まっている他のアンデットモンスターが罠に掛かると思うからだ。
今の俺には聖気による範囲攻撃も可能だ。それに魔力量も増えて聖気をより使えるのだから問題はどれくらいのアンデットモンスターが交易都市ナバーラに居り、そして強力なアンデットモンスターがどんなアンデットモンスターなのかによって勝てるのかどうかが決まってくるだろう。
まだ陽の高い内に俺は交易都市ナバーラの門の近くまでたどり着けそうだ。今もナバーラから続々と俺の方に向かって来ているアンデットモンスターを倒していく。
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