第36話

 俺はすぐに向かって来ているゾンビ系のアンデットモンスターへと魔力銃を向けて銃口を頭部へと向けると引き金を引いて魔力弾を放った。


 当たりどころが良かったのか、ゾンビ系のアンデットモンスターは頭部に命中した一撃で地面に倒れて動かなくなる。


 「なんだったんだ?」


 『太陽の日差しが直接当たるような場所で行動するアンデットは総じて強い傾向があるわ。だから、地面の中で隠れているようなアンデットは弱いのよ。ソイツもレベル1だったしね。』


 「なるほど……。」


 それなら納得だ。魔力感知で気付いてすぐに俺は飛び退いたのにも関わらず、地面から出て来たアンデットモンスターの腕は遅かったしな。


 それなら魔力感知での警戒を怠らなければあの程度の奇襲なら問題はないだろう。


 手早く魔石だけを回収した俺はすぐにその場を移動して草原を進んでいく。


 それからも何度か地面からの奇襲を受けたが問題なく対処して進んだのだが、やはり太陽の日差しを直接浴びても問題のないアンデットモンスターが厄介だ。


 この広い草原でチラホラとその姿を現している瘴気を纏うアンデットモンスター。その強さは聖気の弾丸を直撃させないと倒せないくらいには強い。


 幸いなことにアンデットモンスターは視覚ではなく生命力を感じ取って襲ってくるモンスターだ。


 アンデットモンスターの感知範囲よりも遠くならば、俺のことをアンデットモンスターは気が付かない。


 だからこそ視覚で見つけることが出来る俺には準備も出来て有利だが、良い加減に遭遇する数が多くて途中で魔力回復の為の休憩や魔力回復の魔法薬の服用をしてここまで進んでいる。


 流石に100メートル範囲に最低でもレベル3からレベル4のアンデットモンスターが1体はいるのは進むに進めない。


 アンデットキマイラを倒した場所から移動して3時間も経っているのだが、視界にはまだ俺が残している聖なる結界の姿が見えているのだから、本当に休憩をちょくちょく取っているのが進めない原因になっていた。


 「これさ、一旦ここら辺の草原を出歩いているアンデットを倒し切ってからの方が良いんじゃないか?」


 このままだと休憩に時間を取られて草原を進むことが出来ない。


 それなら目に付いた範囲のレベル3以上のアンデットモンスターを倒してから草原を進める範囲を増やすのが良策なのではと思う。


 『そうね。毎回そこまで休憩していれば進めないものね。それならこう言うのはどうかしら?』


 エリーゼが提案して来たのは草原を走り回ってアンデットモンスターを集める。そして集めたアンデットモンスターたちを広範囲攻撃が可能な魔力ブレスの手甲の能力である【魔力ブレス】を使って一掃すると言う方法だ。


 もちろん聖気を使った魔力ブレスだけでは1発でアンデットモンスターたちを倒すことは出来ない。


 それでもかなりのダメージをそれも数多くのアンデットモンスターに与えられるこの戦法ならば、俺や聖なる腕輪オルゴーの魔力回復の為の休憩時間も減るはずである。


 「そんな方法で倒すのか。良さそうだな。なら、今日はその方法を実践してどこまで出来るのかを確かめるのに時間を使おう。」


 俺はエリーゼの案で今日はどこまでやれるのかを調べる為に行動する。それにあと少しでレベル3になるのだから、ここはレベルアップの為にも積極的にアンデットモンスターを倒したいところだ。


 全力ではなくても草原を走り回ることになるで軽く身体を動かしてから、俺はエリーゼの提案通りに草原のアンデットモンスターを集めて行った。


 「これだけ集まれば充分だろ。これでも食らってみろ!!」


 魔力ブレスの手甲を構えて俺の後方から接近して来ている数多くのアンデットモンスターを聖気のブレスが一掃し始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る