第35話

 翌日、俺の畑仕事の様子を見たいと言うエリーゼを連れて畑仕事を終わらせた俺はセイヴァーオンラインを起動させてアンデットオブアナザーワールドへと向かった。


 ログイン後、俺は周りを確認すればアンデットキマイラ戦で浄化された土地は少しずつ普通の土地へと戻り始めており、聖なる結界の周りにはレベルとして3か4くらいのアンデットモンスターたちが聖なる結界を破壊しようと攻撃を行なっていた。


 その数は3体と少ないがそれはアンデットキマイラの影響で、この辺りのアンデットモンスターが吸収されてしまっているのが原因で少ないのかも。


 とりあえずあと少しでレベルアップをするのだからと、俺は早速聖なる腕輪オルゴーから取り出した昨日作ったばかりの魔力ブレスの手甲を試してみることにした。


 実験として聖なる腕輪オルゴーの魔力を聖気に変換した後、俺は作り出した聖気を魔力ブレスの手甲へと送り込む。


 聖なる結界を攻撃しているアンデットモンスターの中で距離が近いアンデットモンスター2体に狙いを付ける。


 「くらえ!!」


 右手に付けた魔力ブレスの手甲をアンデットモンスター2体に向けると、俺は聖気のブレスをアンデットモンスターたちへと放った。


 光り輝く光の奔流がアンデットモンスターの身体を浄化して溶かしていく。


 聖気の弾丸とは違った範囲攻撃になっているのだが、これはより広範囲を攻撃することが出来ているのが分かる。


 これなら大量に集まって来たアンデットモンスターの群れを一掃するのにも役立つだろう。


 現にレベル3のアンデットモンスター2体は腐った肉の身体をドロドロに溶かされ浄化されて身動きが取れていないのだから。


 でもまだアンデットモンスターが生きているのを考えると、これは本当にレベル2以下の雑魚アンデットモンスターを一掃するのがこれからの使い方になるのだろうな。


 身体全体を浄化されて瀕死の状態になっているアンデットモンスターを魔力弾を3発ずつ撃ち込んで倒すと、残りのレベル4のアンデットモンスターを聖気の弾丸で頭蓋骨を吹き飛ばして聖なる結界の周りのアンデットモンスターを倒し終わった。


 戦闘終了後、俺は聖なる腕輪オルゴーの魔力が回復するまでの間、アンデットキマイラ戦で消耗してしまった魔導具の魔力を俺自身の魔力を送ることで回復させていく。


 そうして食事を食べたりしながら過ごしてようやく聖なる腕輪オルゴーの魔力が回復すると、今度は森林地帯から草原地帯の移動を行なう。


 「これだけ視界が開けていると奇襲の心配はなさそうだよな。」


 早歩きで進みながら周りを警戒して進んでいるが、これだけ視界が開けているとそれだけで警戒心が薄れてしまう。


 『はぁ、油断はダメよ。アンデットは呼吸もしないのだから地面から突然現れる事もあるわ。特に太陽の日差しが強い場所ではそう言う傾向があるのよ、アンデットには。』


 「そうなのか?」


 今のところそんなアンデットモンスターからの奇襲攻撃を受けてはいないので疑問だが、エリーゼが態々そんな嘘を吐く必要はないので本当のことなのだろう。


 視覚での探索はそのままに魔力感知を1つ分使用して地中からのアンデットモンスターの奇襲を警戒することにした。


 これなら目に見えなくてもアンデットモンスターの魔力や瘴気を感じ取って奇襲を防ぐことが出来るだろうと思う。


 「ッ!?」


 魔力感知を使用して移動してから10分くらい経っただろうか、俺は地面の方から不審な魔力を感じ取って即座にその場から背後に飛び退いた。


 ズバッと草原の地面から突き出たのは腐った腕が2本。あの2本の手で俺の足を掴もうとしていたのだろう。


 ズルズルと地面の中からアンデットモンスターが這いずって出て来て俺の方へと向かって来た。

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