第33話
アンデットキマイラの頭蓋骨の中で炸裂した聖気の弾丸により、ようやくアンデットキマイラは肉体を再生させることなく地面に倒れ伏した。
「勝った……。」
『えぇ、勝ちましたね。良くやりましたよ、アカメ。放って置けばアンデットキマイラは何処までも強くなってましたから。』
その場で座り込みながら俺は短くも長く感じたアンデットキマイラ戦を終えて一息吐いた。
使い捨てなのに高額な救世ポイントを購入に要求された聖気を使用した罠のお陰で勝てた物だが、当分はもう戦いたくない強さのアンデットモンスターだった。
「おお!凄いポイントが手に入った。それにレベルもあと少しでレベル3にレベルアップだ!」
『アカメがこの世界に来てから1ヶ月も経たずにレベル3、凄い速いレベルアップ速度よね。』
確かにゲーム内時間でまだ1ヶ月も経たず、現実でもまだゲームスタートから数日だ。ここまでの速さでレベルアップしているのは流石に俺くらいだろう。
聖なる腕輪オルゴーやサポートをしてくれるエリーゼ、何よりも聖気のお陰で簡単に倒すことが可能なアンデットモンスターのお陰でここまで早くレベルアップをしているのだから、アンデットモンスターたちには感謝したいほどだ。
でも流石にレベル5のアンデットモンスターとはやり合いたくない。アンデットキマイラと同じくらいの強さのアンデットモンスターとの戦闘はしばらくは良い。
『さ、アンデットキマイラのドロップアイテムを回収して、今日はこの場所で休むわ。これだけ浄化されれば余程の強さのアンデット以外は接近もままならないでしょうからね。』
「ああ、流石に疲れた。」
俺は立ち上がるとアンデットキマイラが先ほどまでいた場所に移動して落ちているアンデットキマイラのドロップアイテムを回収する。
回収したアイテムは2つあり、1つは魔石だ。残りの1つはアンデットキマイラの素材なのだろう黒い塊だ。
『その黒いのに触るのはやめなさい!!』
「流石にこんなに怪しいのを触らないぞ。それでこれはなんなんだ?」
『それは怨恨の塊よ。強いアンデットからドロップするわ。でも聖気で浄化すれば上質な素材に変わるアイテムなの。アカメ、聖気の準備をするから浄化しなさい。』
エリーゼがそう言うな否や聖なる腕輪オルゴーに聖気が生まれた。
俺は新しいアイテムへと怨恨の塊を変える為に出来たばかりの聖気を使って怨恨の塊の浄化に挑む。
聖気を手のひらまで持って行き、そのまま手を怨恨の塊へと触れるギリギリまで持っていくと、聖気を怨恨の塊へと向かって流して行った。
すると、聖気を流し込まれた怨恨の塊はその色を少しずつ変えて行き、最後には無色透明な塊へと変わった。
ここまで無色透明に変わってしまうと視覚からは視認することも困難になるのだが、魔力感知のスキルのお陰で俺にははっきりと姿が見える。
「浄化できてる?」
『ええ、問題ないわ。これで魔力の塊を手に入った!』
ちなみにエリーゼが鑑定した怨恨の塊の魔力の塊、それと魔石の結果がこれだ。
怨恨の塊
強い怨念を持つアンデットモンスターのドロップアイテム
魔力の塊
魔力が物質として固まった物 怨恨の塊を浄化すると出来るアイテム
アンデットキマイラの魔石(ブレス)
アンデットキマイラの魔石 魔石にはアンデットキマイラの力であるブレスの力が籠っている
怨恨の塊から浄化されて触れる様になった魔力の塊とアンデットキマイラの魔石を俺は聖なる腕輪オルゴーの中に収納した。
その後の俺たちはエリーゼと協力して小規模だが頑丈な聖気を使用した聖なる結界を張ると、聖なる結界の中で休憩のためのテントを建てたりしながらログアウトの準備を行ないログアウトして現実世界へと帰還するのだった。
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