第32話
アンデットキマイラが俺を追ってくる音が木々を壊して進むお陰ですぐに分かるが、木々はアンデットキマイラを止める役には全然立たないようだ。
「まだか!!」
『もう少し進んだ先よ。そこ!!』
ようやくアンデットキマイラを止める為の罠を仕掛けた場所にたどり着いた。
救世ポイントを使ってまで購入して仕掛けた罠なのだからアンデットキマイラに効いて欲しいが、あとはアンデットキマイラをここに誘き寄せるだけだ。
『聖気の用意も出来たわ。あとはアンデットキマイラが聖気を感じてこの場所に来るのを待つだけね。』
「それもすぐだろうけどな。」
聖なる腕輪オルゴーの聖気を魔力銃へと移動させながら、俺はアンデットキマイラがこの場所まで来るのを待つ。
そして聖気を感じたからなのかアンデットキマイラは1分も経たずにこちらへとやって来て姿を現した。
罠が仕掛けられている場所まであと少しだと言うところでアンデットキマイラの動きが止まった。
それを見て罠に気が付いたのかと思ったがどうやら違うらしく、アンデットキマイラはその身体から瘴気を溢れ出したのだ。
一体あれにはどんな意味があるのか分からない。だが、溢れ出した瘴気はアンデットキマイラを中心にして広がって行っている。
その瘴気を浴びた植物は枯れ始めているが、今回設置した罠は一応の為に瘴気耐性のある罠を仕掛けて置いたので罠が起動しないってことはないので安心ではある。
広がった瘴気はあるところで止まると再びアンデットキマイラの元へと戻っていく。そして戻った瘴気はアンデットキマイラが放出した瘴気よりも濃密になり、アンデットキマイラの身体を覆い始めた。
どうやら聖気の弾丸で浄化した瘴気を元に戻る姿を見せる為にアンデットキマイラがこんな事をしたのではないかと思う。
『罠に掛かれば問題ないわよ。罠に掛かったと同時に仕掛けるわよ。』
「(大丈夫、問題ない。)」
アンデットキマイラの身体に纏う瘴気が戻ったことで動揺したが、俺はアンデットキマイラが罠に掛かるのを狙う。
少しずつ後退りをしながらアンデットキマイラとの距離を取る俺に対して、アンデットキマイラは身体中の顔から嘲笑の声を上げながら俺に向かってゆっくりと進み出した。
そして一歩一歩と近寄って俺との距離を詰めていたアンデットキマイラだったが、罠を仕掛けた地面に向けて足を振り下ろした瞬間に罠が作動する。
ヒユューンッと音がアンデットキマイラが踏み込んだ地面から鳴ると、アンデットキマイラの身体を飲み込むように聖気の柱が現れた。
上空へと上がる聖気の光はそのまま形を変えてアンデットキマイラの身体を拘束する木の形に変わった。
周囲の土地と一緒に常にアンデットキマイラは浄化されるが、その身に取り込んだアンデットモンスターたちの肉体を糧にして今も悶え苦しんでいる。
俺はそんなアンデットキマイラに向けて魔力銃を向けると聖気の弾丸を放つ。
1発目の聖気の弾丸はアンデットキマイラの浄化の力に晒されて脆くなった皮膚を貫いて体内で破裂させる。
一気に体内から聖気の力でアンデットキマイラの取り込んだアンデットモンスターこど浄化させる。
すぐさま放った2発目の聖気の弾丸は再生力すらも著しく落ちたアンデットキマイラの身体を更に一気に浄化させた。
『これで決めなさい!』
「ああ!!」
聖なる腕輪オルゴーで変換された聖気を魔力銃へと持って行き、最後のトドメに聖気の弾丸をアンデットキマイラの骨が露出している頭蓋骨へと射出した。
今までの聖気に寄る浄化で脆くなったアンデットキマイラの頭蓋骨は聖気の弾丸の貫通力に耐えきれず、アンデットキマイラの頭蓋骨を貫くと頭蓋骨の内部で聖気の弾丸は炸裂するのだった。
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