第29話

 夜明けから少しの間、俺は仮眠を取ってから行動に移した。


 まだ聖なる結界の周りにいるゾンビ系アンデットモンスターやスケルトン系アンデットモンスターを掃討する。


 聖なる結界の周りに落ちている魔石だけを回収してから朝食を食べて一息吐くと、俺自身と聖なる腕輪オルゴーの魔力の回復を待ってから出発した。


 移動の道中的確に弱点を突いて遭遇するアンデットモンスターを倒して進んでいると、そこでレベル4のスカルビーストと遭遇してしまった。


 「やばッ!?」


 その場から転がるようにしてスカルビーストからの攻撃を躱したが、俺の背後に生えていたそこそこの太さの木がスカルビーストの攻撃が命中してへし折れる。


 「あれ、受けたら一撃だぞ!?」


 『アカメ!聖気の準備が終わりましたよ!早く倒しちゃいなさい!!』


 「分かってるよ!!」


 聖なる腕輪オルゴーの魔力を使ったエリーゼが準備した聖気を魔力銃へと移動させて聖気弾を作り出す。


 「うわッ!?なんだあれ?!!」


 スカルビーストが骨の口を開けて、そこから真っ黒な瘴気のブレスを使って来た。


 瘴気のブレスが触れた地面や草木は濃度の濃い瘴気に侵されて草木は枯れ落ち、地面は瘴気に汚染されてしまっている。


 もしあの汚染地帯に触れれば、それだけで俺自身も瘴気に侵されてしまうだろう。


 それにスカルビーストの吐き出した瘴気のブレスは脅威だ。あんな瘴気の汚染地帯を作り出すだけでなく、俺も瘴気のブレスに触れればただじゃ済まないはずだ。


 『アカメ、絶対にあれには当たらないようにしなさい。アンデットに生きたまま変わるわよ!』


 「は?マジで?」


 やっぱり俺の予想通り瘴気のブレスには絶対に当たっちゃ行けない物なのだとエリーゼの助言で分かる。


 森の中を自由自在に動き回るスカルビーストの動きを目で追っているが、動きを止めない限り聖気弾を放っても今のままだと命中しない。


 「チッ、動きが止まらない!!」


 『アカメ、もう1発分の聖気を用意するわ。今ある聖気弾を撃って広範囲に聖気をぶち撒けなさい!』


 「分かった。頼んだぞ、エリーゼ!」


 とにかく動き回るスカルビーストの動きを少しでもどうにかする為に、俺は聖気弾をスカルビーストが動き回るだろう場所を狙って引き金を引いた。


 そして聖気弾が破裂して辺りに聖気がばら撒かれると、スカルビーストはばら撒かれた聖気に触れて身体に纏う瘴気が消えていく。


 瘴気が消えるのと同時にスカルビーストの動きは先ほどまでよりも鈍くなった。


 「これなら行ける!エリーゼ!!」


 『もう出来ているわ!』


 魔力銃へと聖気を移動させて聖気弾を作り出すと、動きの鈍ったスカルビーストへと聖気弾を放ち命中させる。


 そして聖気弾が直撃したスカルビーストはそのまま聖気に骨の身体を浄化されて、浄化された魔石のみがその場に残るのだった。


 「はぁ、はぁ、疲れた。」


 『お疲れ様。早く魔石を回収してしまいましょう。』


 「そうだな。」


 聖なる腕輪オルゴーからペットボトルの水を取り出して飲みながら魔石の元へと向かうと、ペットボトルと一緒に魔石も収納してしまう。


 「はぁ、それにしても時々森の中にもあった瘴気汚染している場所ってスカルビーストが原因だったんだな。」


 『そうね。その場にいるだけでも少しずつ瘴気で土地を汚染するからアンデットモンスターは厄介なのよ。でもまだ自然の力で瘴気が浄化されているからこの森に問題はないと思うわ。』


 「そうか。」


 今もまだ瘴気ブレスで汚染されている木や地面に目を向けるが、自然の力で浄化されるのを祈りながら俺はこの場から移動していく。


 それからの移動の道中では流石にレベル4やレベル3のアンデットモンスターと遭遇することはなかった。


 遭遇しなかったそのお陰で聖なる腕輪オルゴーの魔力回復が最大限まで回復すると、森の中の開けた場所で休憩に入る。

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