第5話

 チュートリアルを進める選択をすると、また目の前に透明な文章の書かれた画面が表示される。


 そこには現れるモンスターと戦ってみようと書かれており、チュートリアルを開始するかを【はい】か【いいえ】で書かれていた。


 戦闘のチュートリアルを始めるに魔力銃の残弾を確認し、残弾が最大の6発だと確認が終われば【はい】の部分を押して戦闘のチュートリアルを開始した。


 戦闘チュートリアルを開始すればすぐにこの何もない空間に動く人骨が現れる。


 「あれが敵だな。」


 武器や防具などの物は何一つ身に付けていない動く人骨へと俺は魔力銃を向ける。


 動く人骨の移動速度は人間が早足で移動する程度のスピードだ。これくらいなら動いていても問題はない。当てられる。


 俺は構えた魔力銃の引き金を引いた。魔力銃の銃口から放たれる魔力の弾丸は真っ直ぐに動く人骨へと進み、動く人骨の頭蓋骨へと命中する。


 命中する魔力の弾丸の衝撃で仰け反った動く人骨は、そのまま骨の身体がバラバラになって床へと骨を散らばらせて倒れる。


 「倒せたな。一撃だったけど、頭部が破壊されたからか?」


 俺は倒した動く人骨の元へと向かう。散らばった動く人骨を観察し、頭蓋骨が魔力の弾丸で穴が空いており、穴が空いた際の衝撃で幾つかの破片になっている頭蓋骨を確認した。


 「頭に命中したから倒せたんだろうな。」


 これが命中した場所が別の所なら背骨や関節に命中させないと動きを止められなかっただろうし、それに魔力銃の弾丸の大きさから言って狙った骨に当たるのは骨の細さもあって難しいだろうし、やはり狙うのなら命中範囲の広い頭蓋骨になるだろう。


 「まだ続けられるのか。それに現れるモンスターが増えるんだな。」


 戦闘チュートリアルはまだ続ける事が出来るのか、まだ戦闘チュートリアルを続けますか?と【はい】と【いいえ】で表示される。


 消費は魔力の弾丸1つだけだ。だから俺はそのまま戦闘チュートリアルを続ける事にした。


 次に現れたのは先ほどの動く人骨が増え3体になっているのだった。


 動く人骨たちとの距離はそこそこ離れている為、俺は1番距離が近い正面の動く人骨の頭蓋骨を狙って引き金を引く。


 「まず1体……2体……3体……ふぅ、終わった。」


 冷静に魔力銃を構えて1発で動く人骨の頭蓋骨を砕いて倒し終わり、床には3体の人骨がバラバラになって転がっている。


 まだ戦闘チュートリアルを続けられるのを確認した俺は、次の戦闘チュートリアルを始める前に魔力銃の銃身の側面に触れて魔力を1つ分消費して残弾を増やさせる。


 まだ魔力が回復している訳ではないが、倒した動く人骨たちの残骸も消えている事だしと、俺は次の戦闘チュートリアルに進めた。


 3回目の戦闘チュートリアルで現れたのは動く人骨が3体、腐乱した動く人間のゾンビが2体の合計5体が3回目の戦闘チュートリアルの相手だった。


 動く人骨が前衛、その後ろに腐乱した動く人間が早歩きで迫って来ている。


 「ッ!?」


 まだ距離があると言うのに薄っすらと臭いを感じて眉間に皺がよるが、俺は一先ず動く人骨から片付けていく。


 「チッ…………次はアイツらだ。」


 動く腐乱死体の臭いに集中力を掻き乱されたせいで動く人骨の1体を倒すのに2発も撃ってしまった。


 残り2発の弾丸が入っている魔力銃を距離が近付いてより臭く感じる動く腐乱死体へと向けて引き金を引く。


 放たれた魔力の弾丸は動く腐乱死体の頭部に命中する。だが、動く人骨とは違って命中した場所に穴が空くだけだった。


 仰け反って倒れる動く腐乱死体から次の動く腐乱死体へと魔力銃の銃口を変えて再び引き金を引く。


 同じ様に動く腐乱死体は頭部に穴を開けて床へと倒れる。これで3回目の戦闘チュートリアルが終了した。


 そう思っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る