第4話

 1発の魔力弾だと言うのに手や腕に響いてくる衝撃は連続して引き金を引いた時よりも強かった。


 そんな衝撃を手に感じても手や腕は両手で構えていたお陰でぶれずにいた。だからこそ放たれた魔力の弾丸は狙い通りに木製人形の頭部の中央へと命中する。


 そして俺が見たのは魔力1で生成した魔力弾の時よりも深く抉られた木製の頭部に空いた穴だった。


 「威力が上がった……魔力銃の弾丸は込める魔力で威力が変わるのか。」


 手にある魔力銃を見つめながら俺は残り5つの魔力弾を引き金を連続で引いて放つ。


 やはり連続しての連射を行なった際に感じる反動は凄かった。その反動のせいで両手で握っていても狙っていた場所に命中しなかったが、それでも全て木製人形に当たったのでよしとする。


 そうして魔力弾を撃ち終わった後、チュートリアルを次に進めるのかの選択が現れる。だが、俺はもう一つ確かめたい事があった。


 魔力銃の銃身の側面を触れる事で魔力を1消費して魔力弾を装填する。そしてある事を確かめる為に俺は自身の魔力を1つ分操作して魔力銃へと向かわせる。


 「ふぅ、やるか。」


 魔力2つ分の魔力銃だった時、俺は魔力操作で常に1つ分の魔力操作をし続けていた。今の魔力操作だと動かせる魔力は1つ分だけだ。その1つ分の魔力を1発の魔力弾にのみに操作して込めていく。


 「集中しないと難しいな。」


 魔力銃の6つの魔力弾へと1つ分の魔力を魔力操作していた時は魔力銃全体へと込めるだけで済んだが、今回の魔力銃の魔力弾1つだけに魔力1つ分を込めるのは初めての事もあって集中しないと魔力銃全体へと魔力が行ってしまう。


 だからこそ、これが出来るのなら魔力銃の攻撃が凄いことになると確信した俺は集中して魔力弾1つに魔力1つ分の魔力を込める。


 「よし出来た。あとは引き金を引くだけだ。」


 今回の魔力弾が魔力銃から放たれた場合、手や腕に来るだろう衝撃はこれまでの衝撃の比にもならないだろう。


 そう思わせるくらい凄いことになると何処かで確信していた俺は、足を広げてどっしりと両手を使って構えて的の木製人形へと狙いを付ける。


 「撃つ!!」


 引き金を引く。その瞬間、思っていたよりも強い衝撃が手と腕に走り、更に魔力銃を持っていた両腕は衝撃で上へと上がってしまった。


 だが、どっしりと構えてしっかりと狙いを付けたお陰で狙っていた位置とは違うがそれでも木製人形へと魔力弾は向かっていく。


 そして1つ分の魔力が追加された魔力弾が木製人形の胸部へと命中する。すると、命中した魔力弾は木製人形に穴を空けながら途中で破裂する。


 ドンッと魔力弾が破裂した衝撃が起こり思わず俺は目を閉じてしまう。魔力弾の爆発で起きた衝撃で身体全体に風を感じながら魔力弾に魔力操作で魔力を1つ追加するとこうなるのかと思い爆風が収まると目を開けた。


 そして目を開けた俺が見たのは胸部から2つに分かれた木製人形だった。


 魔力弾その物が強化されて貫通するのを予想としていたが、これは俺に取って予想外の事態だ。でも、これは魔力銃での攻撃手段が増えた事でもある。


 アクティブスキルの中で魔力消費で魔力銃から放たれる魔力弾の威力を上げる物もあったが、これはそれに変わる手段になるだろう。


 「これなら強敵と戦う時になっても倒せる可能性が出来た。魔力の消費が多くなるけど使えるな。」


 衝撃による反動が大きく命中しない可能性があるのが問題だが、それ以外は威力もあって問題ないだろう。


 今後は反動の衝撃をどうにかする手段があれば、それを探すのもアンデットオブアナザーワールドを攻略するのと同時にして行こうと思う。


 色々と魔力操作や魔力銃に考えが行っている間に、チュートリアルを行なっているからだろう魔力がすぐに最大になった俺は、確かめたい事が終わったからと次のチュートリアルへと進むことにした。

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