第4話-2
第二体育館に着いた
ちなみに『第二体育館』ってのは二階建ての小さめな体育館で、普段は柔道や剣道、卓球やバドミントンとかの部活に使われている場所だ。
身長と体重とを同時に計れる測定器は二台あり、病院の診察室によくある
「?」
待っている
「姫ちゃん、なんで私の真後ろにピッタリついてるの?」
「結莉ちゃんの測定データを見逃さないためだよ。これもファンの務めだよね」
ファンって言うかそれってストーカーでは?
そもそも一人ずつ呼ばれて測ってるんだからデータ見るの無理だろ。そのあたりのプライバシー保護はちゃんとしてる。
それに……。
「べつに身長体重くらい後で見せてあげるけど」
あっ、しまった。
これおっさんの俺は全く気にしないけど、もしかして女子的には正しくなかったかも?
「わぁ、ありがと♪ 私は見せないけどね」
「おいこら」
まぁ、椿姫の場合、事務所に入ってるから、そう言う情報は…………ん? そう言えば椿姫って『レッスン』って言うから俺が勝手にアイドルグループ系だと思い込んでただけで、実際は何をやってるのか聞いてなかったな。
よし、こっちのデータと引き換えに後で聞いてみるか。
「はい、次の人」
「あっ、はい」
呼ばれて俺は身長体重測定へと向かった。
さっきも言ったけど、身長と体重を同時に測る器具で、かつ身長を測るバーも自動で降りて来るやつなので、測定機の上に乗るだけだ。
「ジャージはいいの?」
「あっ、脱ぎます」
保健委員に言われて慌ててジャージを脱いでから測定器に乗る。
俺としてはジャージ分が体重に足されるのなんて気にならないけど、女子高生的には正しくないだろうからな。
そしてじっと立ってると器具の横に表示されたデジタルデータを保健委員が読み上げなんてせず黙々と記入して終わり。
「ありがとうございました」
立ち去りつつ記入されたデータを見る。
150.4センチ、52.6キロか。
くー、惜しい!
身長は小数点四捨五入して151に行くのを期待してたのに!
体重は、まぁ、割と平均的な……ん? 待て。これ身長比で予想してたのより遥かに重いんだが?
もしかしてこれってデカ
はぁ、ホント自分にとっては良いこと無いな、このデカ
◇ ◇ ◇ ◇
さて、若干の落胆はあったものの気を取り直して、お次は聴診だ。
こちらも同じように、しかし身長体重測定よりも厳重に
検診医の先生は二人来ていて一人は男性医師らしい。
「うわ、このままいくと私、男の先生だ」
たまたま前に並んでた美香がちょっと嫌そうに言った。
一列に並んで待ってるけど、ペース的に見てそっちに割り振られると予想したってわけだ。
まぁ、わかるよ。
この年頃だと、いくら医者でも男に下着とか見られるのはちょっと嫌だよな。場合によっては下着どころか
「だったら私と順番変わる?」
「え? いいの?」
「私はべつに気にしないから」
「そ、そう? ありがと」
でもむしろ
むしろこっちが診てもらう立場なわけだし。
しかし美香がそんなこと気にするなんて意外だった。元気っ子ってイメージだったけど、やっぱ女の子なんだなー。
「はい、次の人ー」
「はーい」
呼ばれて
「あなた、ブラずらせる? 難しいならホック外すけどいい?」
入ってジャージを脱ぐとすぐ保健委員の先輩に言われた。
はいはい、ポロシャツ着てる時点でブラ着けたままの聴診は無理だと即判断されたわけね。
まぁ、このデカ
「あー、はい、多分このままだとずらせないと思うのでホック外します」
「じゃあ私が外すね」
保健委員がポロシャツの背中をまくり上げてホックを外す。
まだ着け外しにはそんなに慣れてないから保健委員が外してくれたので楽できた。
ただし、まだこの状態では乳がすっぽりとカップに収まっているのでそれほどの解放感は無い。
「はい、じゃあ聴診するから、めくって胸を見せてください」
初老の男性検診医に言われて、椅子に座ってポロシャツの前をブラと一緒にめくり上げる。
ちょっと慌ててめくり上げてしまったのでデカ
ちなみに保健委員は背後にいるので
「っ」
胸の上の方、乳の付け根?辺りに当たられた聴診器が予想外に冷たくて、ちょっと声が出た。
そのまま乳の周りに沿うように聴診器は当てられ続け、遂には乳自体にも当てられて、このまま乳首にも当てられるんじゃないかとドキドキしたが、さすがにそれはなかった。
「ちょっと持ち上げてくれる?」
一旦離れた検診医が
そうか、聴診に邪魔だよな、
「あ、はい」
左の乳を自分でぐいっと持ち上げる。重っ!
そして持ち上げて
右乳も同じようにして聴診は終了。
ブラを付け直すのに保健委員も手伝ってくれて助かった。
◇ ◇ ◇ ◇
次はまた別の
「何か気になることとか、困っていることはある?」
目下現在進行形で困ってることと言ったら、そりゃ──
「あー、えーと……ちょっと生理がつらくて……」
高校生にもなってこんなこと相談するのは申し訳ないけど、
勿論保健医はそんなことなど全く気にした素振りは無く優しく聞いてきた。
「痛み止めは何を飲んでるのかな?」
俺は、家に常備されていた薬の名前を告げる。
「そう。もしかしたらその薬が成分的にあなたに合ってない可能性もあるわね。違う系統のを渡すから試してみるといいわ。後で保健室に取りに来てね」
鎮痛剤に違いなんてあるのか。全然気にしてなかったよ。
おっさんやってた頃は頭痛の時しか飲まなかったから割と無頓着だったしなぁ。
こんなことなら昨日の内に相談しておくんだった。
さて、こうして
◇ ◇ ◇ ◇
「
放課後になって今日もさっさと帰ろうと仕度をしていたら
まさか珍しく同好会に行こうとか言うつもりじゃないだろうな?
それとも寄り道? 何にしても今日はパスしたいところだけど……。
「実はちょっと話があるんだけど、いい?」
「話?」
「うん、帰りながらでいいからさ」
……なんだ? 何か相談ごとなのか?
でも一応、
まぁ、ただ、一人で帰るよりは若干手間ではあるので、
「しょうがないなー」
「それわざわざ口に出す?」
「姫ちゃんにはね」
「やった♪ それって私が特別ってことだよね?」
「良い意味じゃないけどね」
帰り仕度を終えた
「
「あっ、うん、わかった」
ちなみに航はあれから毎日同好会に顔を出しているそうだ。
そこでただゲームやってるだけだとしても、それはきっと良いことなんだろう。
本人が楽しいのならそれでOKだ。
「じゃあね」
軽く手を振って航にそう言うと
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