初手一発ノックアウトをかませ!!

 例1 

 時渡る空。星の見えない街道をひた走ろ一人の女性がいた。彼女の名前は――。


 と、自分の作品星願いのアサンブルから持ってきましたが、いかがでしたでしょうか?読んでいて、「綺麗だな」と感動したり、「上なの下なのどっち」と混乱した人もいると思います。実際それを狙って書いています。


 例2

 ふと、人生を振り返るたびに『運命とは何か』と考え耽ってしまうことがある。


 これも自分の作品血脈のカタルシスから持ってきた最初の一行。個人的には露骨すぎるなとは思いますが、話の始まりの取っ掛かりとしては上出来だと思います。ふと、を入れることでスッと世界観に入れるよう配慮して、テーマをぶち込むことで心を掴んでいます。


 このように、最初の一行というのは、まさに限界。そのあとの内容が酷くても、ある程度は長く読んでくれます。一種の詐欺師テクですね。


 もちろん中には、〇〇日何時何分とか、して始める人もいるし、邸宅で飯を食っていると言って、ずらずら書きなぐる始まりかともある。そこら辺は個性が出るところ。なんなら、そこで自分の肌には合わない合うを判断されて、本棚に戻されることだって全然あり得るわけです。


 じゃあ、どういう始まり方が良いのかとかあるのか?と来て来ると思うが、先ほども言った通り、人それぞれだ。そのパーツも無数に存在する。特に日本語はそれが顕著な言語だ。


 でも、強いて言えばとかないの?としつこく聞いてくるなら、個人的見解だが示しておこう。


 《ホシネガ》の書き方は、ジャップ式を採用している。思考を極端なところに移動させる技だ。


 例1 君は流れ星を見たことがあるだろうか?自分は実際一度だけ現実で見たことがある。次に見たのは仮想世界の迷宮で見た。


 例2 本は嫌いだ、でも物語は好きである。


 例3 彼女は片思いをしている、自分も同じく片思いをしている。


 まず、例1は分かる人には分かるとは思うが川原礫さんのSAOの始まりのオマージュですね。プロの方ね。自分が小説を書きたいと思わせた一行です。(オーバーしてる?気にするな)。


 この文の凄いところは『問う』ことで取っ掛かりを作り、『現実』という発言で、仮想世界?異世界?と匂わせつつも、現実で流れ星を見るイメージをぶち込んできます。その上で本題に移って、『流れ星』は形容だと分からされ、話を識ってるとその流れ星が『メインヒロイン』という魅せ方をしていて、キャーと歓声が上がるくらいの美しさがあるんですね。これがプロかと感動させられました。


 例2。これは自分本来ホシネガに使われる予定だったものです。ギャップとして定番すぎるものですね。最初に『嫌いなもの』を持ってきて、物は変わらないのに『好きと答える』テクニック。嫌いと好きの落差を生んでるんですね。


 『良い悪い』『善と悪』『汚いと美しい』『論理と感情』『女と男』といった、真逆そう、斜めの関係、直角といった関係性を組み合せる王道ですね。変に考えなくとも、インパクトが生まれるから個人的には好きですが、押しが強いから嫌煙する人もいますからやり過ぎには注意。


 例3はよく恋愛ものに使われる技法ですね。同じようなものを並べているように見えて、本質的には全く違うというギャップ技法だ。


 この文だと、もうしかしたら両想いかもしれない、と予想できるが、『片思い』と双方がいている時点で、別の人が好きなんだなとか、もしかしたら、好きな人が同じなのかもしれない。想像が掻き立てやすく先が読みたくなりますね。ギャップの正体が話の先にあるというのは、期待マシマシトラップです。乙女であれば、垂涎ものであろう。


 次は、キャラや状況を表すタイプのものを取り扱います。


 例1 「七星警部、ご苦労様です」そういって現れたのは、真っ白いスーツを着た私の上司でもある、七星誠司である。


 例2 空から女の子が降ってきた。


 例3 吹雪く山で五人は遭難していた。


 例1は定番ですね。呼ぶことで登場はもう話は始まったんだなと、自覚させるには充分である。


 他にも、いきなり『容姿』をぶち込んで始めるやり方があるが、ファンだったら許してくれるとは思うが反面、はじめて読む人からすれば渋い顔になるから、人気になったくらいの時にやるのがベストなところ。


 例2は出オチでも良いんですよ、の典型例ですね。読者としてはショートしているうちにいくらか読んでしまって、ここまで読んだからにわと嵌め込むやり方ですね。自分は三ページ読んで閉じることが多いです。


 インパクトがあるが『考えるのが苦手』な読者はすぐ閉じてしまう傾向があるから、初期でやるにはオススメしない。 


 例3は状況が分かりやすいですね。『どこ?』『何人で?』の情報が即入ってきて、舞台が分かりやすい。


 これは舞台設計をした上でやるから『予備知識を持っている人』ほど引き込みやすい傾向がある。本質的には「これはこういうSFだ!」「これはファンタジーです」と主張しているようなものですね。


――――――


 他にもやり口がありますが、それはあなた方が発見してください。その楽しみは奪うつもりはありません。(書くのが面倒なっただけです)


 この辺りで言いたかったのは『一行目にこだわれ!』とう内容です。とはいえ、そんなに気負いせず、まずは一行書いてみることで勝手に世界観が広がるので、その流れに身を預けてください。なにせ、この作品もそれで出来てますから。

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