漢数字、算数字の使い分けのルール

 今回のところは戦争回避するための内容と言っても過言ではありません。経験上、この件で何度もケンカになって、「表現の自由を奪うな」と「別にいいじゃん」と理由も話を聞いてくれない状況になりやすい。


 何度か「うぜえ」と別のとこで文句垂れられた立場として、相手の気持ちも分かるんだけど、そこ押さえてないと書籍化という華の時に、「はい、数字訂正しましょうね』と苦労する羽目になるから、そのリスクを避けるためにもここで和解して、小説家ライフを楽しんでほしいというのが、切なる願いです。


 まず、『漢数字』と『算数字』をご存知でしょうか?


 そりゃ、『漢数字』は一二三四……のものだろ。〇正解。


 『算数字』は自信がないが、1234……のものかな?〇正解


 それでは本題!使い分けはどうする?と訊かれたら、「恥ずかしながら知らない」と答える人が多いと思います。識ってる人は昔は知らなかったなと、懐かしんでおいてください。


 用途分けはそれが『変化するか、変化しないか』の違いです。


 どういうこと?と思った人は続けて次の問題の違和感を探してください。


 問題 二人の先生に頼まれて、プリントを2年A組生徒に配ることになった。紙のサイズはA四、B5という大きさが違うプリントで、サイズくらい統一しとけよとは思いました。早く終わらせて、隣の部屋の104号室に住む一人暮らしの富豪の部屋で、一緒にA5ランクの和牛ステーキをごちそうになりたいものだ。


 という文章です。何か違和感を感じませんか?


 すぐわかる個所として、『A四』は本来『A4』ですよね。そんな画用紙をほとんど見たことがないと思います。なぜ、そのようなものにしないといけないか?理由は簡単『変化しないから算数字』なんです。


 先にその正解部分を挙げるが『B5』『A5ランク』は基準となるものなので『変化しない』つまり『算数字』を使うのが正解です。


 きっとそれを知った瞬間に、あれ?部屋番とかクラスの数字は含まれないの?と疑問に思た人がいることだろう。


 その前に漢数字であっている先生の人数だが、『先生の数は変動する』からルールに従って『漢数字』は理解できる。くわえて、一人暮らしも『人が入ってきたら変動するから』そうなることは分かる。


 でも、部屋の番号は変化しないから算数字で良くない?教室は場所だから名前が変更されない限り、変化しないんじゃないと思われるだろう。はい、ここが論争点となる火薬庫です。何度火をつけて丸コゲになった事か……。


 発言が複雑だからよく聞いて欲しい。確かに部屋番号は特別変わらない。なんだけど、『住む人は変わるよね』という屁理屈かよと思う罠があって、表示としては『漢数字が正解』何だけど――場所として示す場合は『算数字』という特徴があるんですね。同様に、教室としては『算数字で良い』です。ですが、生徒に向けたものであれば『漢数字』なんですね。『学年が変わると中の人間が変わる』から。


 という、ふざけた部分があって、応用すると、


例1 病院で「105号室行ってきて欲しい」と言われたときに分かっている人は、空き部屋なんだなと予想をつけることができる。


例2 「一〇五号室を見てきて」と言われたら、ああ、使われている部屋かと判断することが可能になる。


 面倒くさいとは思うが、生憎それは『相手に伝える』という観点で重要なルールで、仮に全部『漢数字』で良くねしたら、漢字に当てはめてはならない『A四』みたいな存在が出来上がってしまう。『A五ランクの肉』ってなことにも成り兼ねない。逆に全部『算数字』にしてしまうと、 


 2人の先生に頼まれて、プリントを2年A組生徒に配ることになった。紙のサイズはA4、B5という大きさが違うプリントで、サイズくらい統1しとけよとは思いました。早く終わらせて、隣の部屋の104号室に住む1人暮らしの富豪の部屋で、1緒にA5ランクの和牛ステーキをごちそうになりたいものだ。


 みたいに極端に漢字を算数字にするアホが出てくる可能性がある。


 だからこそ、一つの小説言語の側面として、そこは理解しないといけない。そうしないと、後々さらに面倒なことになるし、それに――――


 二人の先生に頼まれて、プリントを二年A組生徒に配ることになった。紙のサイズはA4、B5という大きさが違うプリントで、サイズくらい統一しとけよとは思いました。早く終わらせて、隣の部屋の一〇四号室に住む一人暮らしの富豪の部屋で、一緒にA5ランクの和牛ステーキをごちそうになりたいものだ。


 という文章の方がもう識ってしまった側としては、理解しやすい文章に見えてもう以前には戻れない。


 言語というのはそういう細かい理解があって、相手に伝わるようになるのだ。


 特に日本語はそういう言語なのだ。

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