20 国王とアッパー
平和な日常、男の経験を経て、あと男の娘で馬乗りになられる経験を経て、こうして平和に過ごせている今日この頃。
アルセウスたちAIに種採取と称しておもちゃにされた昨日を忘れ去るために、性交とは無関係な妹たちとの触れ合いに
クルアとメナは二歳なのでまだまだ立ち上がってヨチヨチ歩きだけど、クオンは一歳で二人よりもかなり活発に歩いている。と言っても行動範囲は母タリンの周囲だけだ。
クルアとメナの馬として兄は
最近の村は俺が狩りでダーダウガという獅子を狩ってしまったことでかなりおかしなことになってしまった。
成人してすぐに今年狩場になっている南の森で狩りをした。そこで普段は見かけない大きな
実はこの時の俺はマテリアルボディーを操作していたハクラで、彼女は狩りに昔から興味があったらしいので変わってあげたらこうなった。
ハクラは短剣一本でダーダウガを狩れるだけの実力はもちろんあったけど、どうやら興奮してしまって俺との約束だったやり過ぎないの一線を越えてしまったらしい。おかげで俺の株が見えない高さまで突き抜けてしまっている。
男たちから一目置かれ、女たちから様々なアプローチを受け、狩りはハクラが弓でも剣でも槍でも毎日1頭は獲物をとって帰ってきて、そんな中で俺は精通して即アルセウスにバレ、リンと初体験をすることになりヒヒラやシャユランやハクラともし終えると、今度はアルセウスに艦長義務だと言われてAIたちを相手することになった。
疲労が感じられればよかったが、この体はそれとは無縁で少しだけ心労があるくらい。その心労も数時間でなくなるから俺は彼女たちのおもちゃにされてしまっている。
「にいたんうまうま」
「うまうま」
「は~い兄ちゃんは馬ですよ~」
こうして妹たちとの触れ合いがどれほどの癒しになるか、とそんなことを言うとリンたちのことも疲れるのか?と思うかもしれないがそんなことはない。むしろ毎日でも構わない。
でも彼女らも自分のしたいことがあって、だからアルセウスたちが俺をいいように呼びつけるんだが、ここならあいつらも来れないし連絡も無視できる。
正規、非正規、それらを問わず俺には責任がある。最初から最後まで関与していなくても基本俺に責任がのしかかる、だからきっと今も何かしら起きていて俺に責任が重しとして増えていっているのだろうけど、それを俺が知るのはきっと取り返しがつかなくなった時だろう。
『艦長、緊急連絡です』
噂をすればアルセウスか、まったく緊急なんて言ってこの前なんて新しい男の娘の服ができたとかでセーラー服というのを着せられた。しかもハクラとの初体験はそれを着ることを強要された。
「ほれメナしっかり捕まっとけ、クルア!立っちゃダメ!転んじゃうだろ~」
妹たちとのキャッキャがここまで癒されるなんて、至福の時とはこういうことを言うのだろうか。
『私の代わりを務めていたシリウスが国王にアッパーをしたことを連絡します』
「ほらメナ~アッパー」
「アッパー」
「アッパー?」
アッパー?あれ?アッパーってなに?挨拶って意味だっけ?いや攻撃された時に使うやつだっけ?
『詳しく申し上げると、アクセラ領主バルグリフ=デイゼがモルラルダ国国王ベッテンバーリッツ=モルラルダにウルフェン様と私のことを話しました。その結果国王がシリウスを呼び出し彼女は冷静にそれを受けて自己判断で国王に
それってつまり国王へのアッパーは、ウルフェンへの侮辱=俺へ侮辱、つまりは俺が原因ってことで全ては俺の責任ってことだよね。
で、そのあとシリウスはどうしたのさ。
『アッパーをしたシリウスはその場にいた全員をスタン効果のある
断層、その場にある物質を別の物質へと変化させその場を一時的にでも
『その後国王を裸にして地面に拘束したのち、シリウスは鞭で打ち続けたようです。もちろん傷が付く材質ではないため衝撃と多少の痛みで皮膚が赤くなったりはするでしょうが、死にはしないので生きてはいるでしょうが性癖が目覚めているかもしれませんね』
性癖とかどうでもいいけど、シリウスってアルセウスの下で不具合の出たAIを教育し直す仕事をしていたんだろ?AIの教育ってまさかそっちなの?
『彼女は私の妹のような存在ですが、双子でもあり優しい私の代わりに厳しくするところがあるので、私は飴で彼女は鞭となりまして私としてはカワイイので好きにさせてあげたいと思っています』
う~んこれは俺の責任ではあるけど、シリウスなら全てなかったことにして記憶削除からうまく帰還できるだろう。
『はい、私もそう思います、きっとうまく洗脳してウルフェン様の素晴らしさをうわ言の様に話すようにさせるまでするでしょう。私の妹ですので』
だめだ、宇宙統合機構基準法に照らし合わせたらラインを反復横跳びしているかもしれない。これ以上は問題は起こらないだろうけど、何度も洗脳することは脳機能に影響が出かねない。語尾にワンとか言い出したら完全にアウトになってしまう。
できればシリウスに全て任せたいところだけど、アルセウスはどう思う?
『賛成です、王のことは彼女に任せましょう、それよりもアルテミアの方が心配ですね』
あ~文明的に宇宙に出ている人類種の捜索とその勧誘か、……それについては俺も嫌な気がしてるよ定時連絡もないとなると人類種ないし宇宙文明期に入っている外敵と遭遇している可能性が高い。
『以前のようなトカゲなら問題ないのですが、スライムのような攻撃的強敵との遭遇は脅威ですからね。虎の子の4キロメートル級探索艦サクラを失うのが痛手ですね』
サクラか、あれには広域外装迷彩を装備させているからコストがとても高い。その資源の補充は年数で20年規模でしかもこの近場にはもう無い素材もあり探索から始める必要もある。
『探索は資源も含まれているため、最も最良なのは任務のすべてを完了したうえで次いでの資源探索も完了して帰還することが望ましいですね』
ま、無事で帰ってくるのが一番だよ。
「タジン様!」
唐突に響くメアルの声、中はもちろんリンが入っているが珍しく慌てた様子でこの
「メアル、慌ててどうした?」
「助けてください~」
事情を聴くとどうやら父アデジオがメアルにしつこく付きまとっているらしい。中身はリンなので彼女としては父に触れられると気持ちが悪いらしい。
メアル本人なら父のこれは日常だったためむしろ受け流せるんだろうけど、リンにとっては経験のない恐怖でしかないことだ。
「メウメウ泣いてる」
「メウメウだいじょ?」
妹たちにとってはメアルは子どもの頃から面倒を見てくれる実の姉的存在、こうして中身が違うとしても心配するのは当然で。
「メナ、クルア大丈夫だよ」
俺は取り
「怖いなら俺からちゃんと父さんに言っておくけど、むしろちょっと性欲無くなるくらい母さんに怒ってもらうけど」
「ううん、大丈夫……でもちょっとだけこうしていてほしいかもです」
リンはメアルの振りがうまくなってる。でもメアルの話し方こう見ると可愛いかもしれん。
「今、メアルのことカワイイって思いましたね」
「……思いました」
「それに関して私は思うのです、彼女の敬語はカワイイのです」
メアルは俺とはこんな話し方はせず、母タリンや父アデジオのような大人と話す時だけそうなるらしい。
彼女のですます口調はかなりカワイイ、加えて彼女の容姿はリンよりも父たちの世代には刺さる顔立ちだ。
「メウメウとにいたんギュ~」
「ギュ~」
メナとクルアへ母タリンの必殺ギュー、これは俺が艦長になる前にわがままを言わせない強引な母の最終奥義。今では妹たちとリンと俺との儀式であり絆のようなものでもある。
よしよしと2人の頭をリンと一緒に撫でて母タリンがクオンを連れて入ってくると、さっそく父アデジオの愚行を報告した。結果父はその日食事が明らかに小さい骨付き肉(ほぼ骨)を出され、
時に、近々タノモンの妻になったクレイスが商隊を率いて村を訪れると村に報告があった。そうすると数日後には彼女が荷馬車二台分の品物を載せて村を訪れるのだが、女たちは村の品か街に働きに出ている娘にもらったお金を手に品物を選ぶ姿が見れる。
今回でもう4回目のこの行商はクレイスにヒヒラが提案したことになっているが、実際には俺が裏で色々手を回しているのはクレイスも知らない。
鉄の剣や鉄の包丁、鋼の鍬や鋼のハンマー、これらはこの村の発展のために取り寄せて、既に印を刻み神の血を流して試してみたりはした。ただ、神の血の使用量で良し悪しは変わり材質に関係がないと思っていた強度なども俺以外が使うと木の素材より鉄の素材の方がかなり強化される。
俺なら木が聖剣になるが他の人は木が硬い木程度になり、鉄なら鋼に近い強度と切れ味になる。だからこの村の人にはこの印のことや神の血のことはリンの母であるリミャオに協力してもらって教え広めている。
だから最近は村の誰もがこの刻印と名付けたものが刻まれた道具を使っていて、クレイスが今回商談にくるのにあわせてリミャオに売り物になるか交渉を頼んでいる。丸投げで申し訳ないけど彼女はもう俺の身内だし。
リミャオが俺の身内というのは、リンの死後彼女の父であるところのロダウがどういう人間なのかを俺は思い知らされたことから語るべきだろう。
ロダウとリミャオの関係は夫婦ではあるが、彼女は別に婚約者がいてそれが彼の
リミャオは好きでもない男と結婚した挙句に相手も好きだから奪ったわけではない、しかも産まれた娘にも関心がなくリンと名付けたことも知らないまま半年間別の女のところへ出向いていた。
そして最後には成人したてのリンを適当に面倒くさそうに見守り、たまたまオダイに噛まれて死に体のリンを見つけ気だるそうに彼女を連れ帰った。
これらの経緯を俺がリミャオに話すと彼女は鬼の形相で怒りを露にした。だからそんな彼女を助けるため、リンの死を持ち出してロダウと彼女を別れさせるシナリオを描いた。
そのシナリオはシンプルだったけど、それもこれもロダウが一切それらに関心がなかったからだ。リミャオが無表情でロダウとの別れを成立させた時に彼女の喪失感を埋めるためにリンが生きていることや俺のことを話し、何かしら彼女がこれから楽しく過ごせたらと俺は気を使った。
ロダウのことは今も心に不満を抱えているが、それでも俺とリンとで彼女の笑顔は増えてきている。まだ25歳だからこれからどうとでもなる、もうロダウを気に留めることも必要ない。
リミャオと別れたロダウは、その後他に妻も子もいないため完全に一人になったが、抱ける女に当てがありそこへ通う日々を送っていた。彼がそこまで興味を持たないのも、彼が邪魔していたロバンが結局幸せそうに暮らしていることが原因のようだった。
結局この中で被害者なのはリミャオとリンだけだ。復讐、そんなことは考えてほしくもない。俺的には彼女たちの記憶からロダウを消したいところだけど、その辛さを消せるくらいに大事にしていきたいと思っている。
何せリンのお母さんということは俺の母さんでもあるわけだから。
「タジンちゃ~ん!ママとエッツなことしましょ~」
「もう母さん!酔っぱらいすぎ!」
リミャオの趣味商売と
お酒はこの村にもあるが度数で言うなら発泡酒程度のもので、蒸留酒をアルセウスで作って彼女へプレゼントするとものの見事にはまってしまった。
ナノマシンでの分解を制限しているため彼女はべろべろに酔えてしまう。
「リン~あたひね、あたひは、タジンちゃんのことだ~い好きなの!だからときろきでいいからエッツなことしてもいいでしょ?」
「いいけど酔っぱらいはダメなの~」
あまりにもエロい酔い方に蒸留酒は基本的にアルセウス艦内でのみの飲酒に限定している。つまり今リンも本来の体だし、俺は本来ではなくシャユランのようにアルセウスとテセウスが完璧と豪語した男の娘の格好をさせたマテリアルボディーに入っている。
猫耳メイド、しかも露出度高め。
最初はなんて格好だ!と思ったけど、こっちにはAIたち以外にあまり喰いつきはないため、特に抵抗感もなく着ていられる。勘ぐるならマテリアルボディーに細工されててそう感じさせられているだけかもしれんがな。
「きゃわいいタジンちゃん、……その尻尾お尻に刺さてんの?それとも固定しているだけなの?」
「……」
その質問には答えられない、なぜなら俺にもどうなっているのか分からないから。
こんなふざけた格好の艦長がいるのだからロダウのような変な男がいてもいい。彼が何を抱えていてこの生き方になったかはどうでもいいし、最近彼を村の女性が避けるようになったことも彼の責任でしかない。
この村を出れば彼はイケメンで筋力もあり頼られる男となるだろうけど、あそこまで無気力ならそれもなさそうだとは思うけど。
そういえばウチのルナ姉、母デリナの長女で父アデジオの三女の俺の姉が現在14で、再来年の結婚の時にバニースーツを着たいというので、実際に彼女に着せさせて婚約者であるトーリにもそれを見てもらった。
結果は大層気に入った様子で、まだ結婚前なのに他の妻を差し置いてルナ姉が毎日スキンシップしているらしい。トーリはいい男だと俺も思う、意見はあまりなく言えば何でも行動して俺に偏見もなくルナ姉以外の妻があまり彼を好きではない。これほどの好条件をよく見つけたと思う、上の姉ミリアとタノメは中々どうしてこの村らしい義務感しかない結婚だったから。
長女のタノメ
精神が弱っていくのも無理はなく、あれだけ父にも男の子をと望まれていたのに抱いてももらえないのは人としては辛いだろう。だから俺も相手方を無視して姉を全力支援することにした結果、色々ばらしてしまい今ではアルセウスのクルーになっている。
村にいる姉タノメのマテリアルボディーを操作しているのは
姉タノメは今はクルーとしての日々と俺との時々のスキンシップでかなり以前の元気な姿になった。そのうち妊娠でもすればきっといい母になる。弟の子どもというのは申し訳ないけど、DNAレベルで変化を与えられる体だから異常はでないし、そもそも俺のDNAは既にかなり特殊なことになってるしで宇宙統合機構基準法でも禁止されている事項ではない。むしろオス型が艦長一人なのだから自然にクルーには子が増えて子と――と今は考える必要もないか。
そもそも俺の子は男の子が産まれないということでもあるわけだけど、それに関しては悲観するところはない。
ちなみにミリア姉のことに関してはクルーではないが、現状が良いというわけではない。夫との関係は不可侵で子どもは二人産んでいるが、それが夫との子ではなく夫の父の子だというのだから複雑だ。
姉ミリアの夫は父アデジオを嫌い、その結果彼女は抱かれることなく見かねた夫の父が彼女を抱いた。それが槍の家紋の家長であるブランドだから正直歳の差を考えろとも思った。45と16で一人目、46と17で二人目、現在47と18で三人目妊娠中。
本人に話を聞くと脅されたとか襲われたとかではなく、夫としての役割を果たしもしない息子に代わりミリアに親身にしていたところ、姉の方が男らしさとやさしさと家長という地位に惚れこんだそうだ。いつだって優しい年上おじさんにコロッと惚れてしまう女の子はいるってことだな。
家長の子を産んだことでブランドの妻たちにも娘たちにも何か不満のようなものがあるということはなくて、この村ではよくあることでもあることから、姉ミリアは夫という肩書を持った他人と子の父であり自身の好いた男であるブランドがいて今は幸せそうに見えた。
良いというわけではない、そう言ったのは姉ミリアにとってではなく父アデジオにとってで、なにせミリア
父アデジオにすり寄っていた他家の妻たちが今はすっかり優男ブランドに人気を持っていかれた。槍の家紋は何かと問題視されるが、それは槍の家紋が女が強い立場だからでけしてブランドが蒔いた種ではない、いや種は蒔いているんだけどねしっかりと。
最後に一番年の近い姉アナは最近ようやく婚約した、だけどそれは一か月で消えてなくなってしまった。悪い理由ではなく行商に来ていたタノモンの妻クレイスに使用人として村に来ていた男の子と恋仲になったのだ。
運命的な出会いの結果、二人は燃え上がり燃えに燃えて一線を越えてしまった。そのため16を待たずして姉アナはこの村を出て行くことが決まり、今日は久々の里帰りというわけだ。
「元気にしてたメナ、クルア」
「……えう」
ちなみにメナとクルアをお世話していた時は1歳の頃で、すでに半年間会っていないため覚えているが呼び方を忘れて戸惑っているようだった。
でも姉アナは二人の笑顔を見ると覚えているかいないかではないという様子で二人を抱きしめていた。
「ギューだよ」
「ギュ~」
我が家も
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます