第141話

アルは艦隊の再編を行った。

その結果、手元に残った戦力は連れてきた艦隊の3分の1になっている。

選出した貴重な戦力はポセスの交易艦隊に分散して配備した。

全ての交易艦隊に護衛はつけられなかったがマルコシアス王国の船が混ざっていることにより交易艦隊に手を出しにくくなったはずだ。

国許には追加の戦力を要請しているが叶えられるかはわからない。

本国防衛にヒンメルン王国への戦力供給。

独自の交易にとどれだけ戦力があっても足りていない状況だ。

アルの膝元である元サーキス王国でも船員は育てているが戦力になるまでに後、数ヵ月はかかる。

頭の痛い問題だ。

食料問題については改善しているのが救いだろうか。

アルは自分の負担を軽減すべく、ジェイクにとある相談をしていた。

ヒンメルン王国の貴族の中から継承権の低い者を対象に代官を募集した。

その結果、応募が殺到して困っているとジェイクからの手紙には書かれていた。

応募者からすればチャンスであるため気持ちはわからなくもない。

選抜に関しては意趣返しの意味も込めてジェイクに丸投げしておいた。

ジェイクとしても統治が不安定になるのは望んでいないためしっかりとした人員を送ってくるはずだ。

食料自給率を上げたりと対策はしているがそれでも、食料の一部はまだ輸入に頼っており、アルが個人的に稼いだ資金を投入している状況だ。

帳簿とにらめっこしているところに補佐官が入ってきた。

「アルフレッド様。朗報です」

「朗報ですか?」

「山師から鉱山が見つかったと連絡が入りました」

「それは本当ですか?」

「はい。鉄ですがかなりの量が期待できるようです」

「それはよかった」

アルと補佐官は産業が弱く輸出できるものがほとんどない現状に危機感を持っており、山師を雇って鉱山がないか調べさせていた。

その結果として鉄鉱山を発見したわけだ。

金や銀などが見つかればもっとよかったのだが、鉄でも見つかっただけ良しとするべきだろう。

「山師には引き続き調査を続けてもらうとして人手の確保に輸送手段の確保。色々忙しくなりますね」

「利権の一部は取られますが鉱山の防衛戦力としてヒンメルン王国に兵士を出してもらいましょう」

「あぁ・・・。確かに必要ですね。お願いします」

鉱山というのは金を産むだけでなく争いの元にもなる。

流石に周辺に戦争を仕掛けてくるような国はないと思うが賊などを呼び込む可能性はある。

鉱山そのものにも護衛は必要だし運び出した鉄鉱石にも護衛は必要だ。

利益の一部はヒンメルン王国に取られるがそれでも対策は必要だろう。

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