第140話

「条件次第では受け入れてもよいと考えております」

「その条件とは?」

「まずは足りていない戦力を確保するためにこちらの指定する学校への入学ですね」

「入学ですか?」

「帆の操作などは問題ないと思いますが特殊な武器もありますので」

「なるほど・・・。納得のできる理由ですね。希望者を募り送らせていただきます」

「後は庇護する変わりに一定の税を納めていただきたい」

「いくらほどでしょうか?」

「交易で得られた利益の1割ほどでいかがでしょうか?」

「本当にその額でよろしいのですか?」

「はい。ちなみに以前、サーキス王国に支払っていた額をお聞きしても?」

「構いませんよ。サーキス王国には5割の額を支払っていました」

「また、随分な額ですね」

5割と言えば利益の半分だ。

ポセス側に選択肢がなかったとはいえ、よく受け入れたなと思う。

「異論がなければ契約書を作成しましょう」

「我々はこの条件を受け入れます」

アルは契約書を2枚書き上げて署名するとヒュドラに差し出す。

ヒュドラが内容を確認して署名したのを確認すると手を差し出した。

ヒュドラも意味を理解して握手する。

「これからよろしくお願いします」

「こちらこそ」

「この後、時間はありますか?」

「えぇ。スケジュールには余裕を持たせておりますので」

「では、お預かりする人達が通うことになる学校を視察してみませんか?」

「よろしいのですか?」

「はい。実際に目にしていただいた方がスムーズに進むと思うので」

「それはそうですね」

アルはヒュドラを連れて学校を訪れた。

現在、この学校では将来の船員を育てるべく若者達が汗を流しながら課題にとり組んでいる。

今はちょうど大砲の扱い方を学んでいるところだった。

固定された小型の戦闘艦から標的に向けて一斉に砲撃が飛ぶ。

「これが噂に聞く大砲ですか」

「えぇ。うちの主力兵器です」

「距離を考えると一方的に攻撃できそうですね」

「事実その通りですね。距離をうまく取り続ければ魔法は届きませんから」

「あれだけ精強を誇ったサーキス王国の海軍が負けるはずです」

サーキス王国の艦隊は遠距離攻撃として魔法の扱える者が多くのっていた。

だが、射程外から砲撃を受けたことによりその力を発揮する前に勝負が決まってしまったのだ。

アルのスキルによって産み出された大砲は海戦の在り方を変えたといっていいだろう。

各国は大砲の研究、開発を急がせているが技術力の問題でうまくいっていない。

しばらくは海上の覇者として君臨し続けることが可能だろう。

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