第136話
「僕はロマニア帝国の皇太子だぞ。責任者を連れてこい」
「そうは言われましても・・・」
港の警備をしている兵士は困惑顔だ。
特に国交があるわけでもなく事前に連絡もなかったのだ。
これで特別対応を要求されても困るだろう。
そこにアルが顔を出す。
「何かありましたか?」
「アルフレッド様・・・。それが・・・」
状況は理解しているが兵士から話を聞く。
非常識な客であるロマニア帝国一行はそれを苛立たしげに見ていた。
「餓鬼が我らの貴重な時間を奪うなど言語道断だ」
「貴様・・・。こちらの方は・・・」
アルは兵士の口を身振りで止める。
「まだ名乗っていませんでしたね。この地を預かっているアルフレッド・ド・マルコシアスです」
「マルコシアス?ここはサーキス王国のはずだ!」
「サーキス王国なら色々あって滅亡しましたよ。今のこの地はヒンメルン王国とマルコシアス王国の共同管理地です」
「そんな馬鹿な・・・。あのサーキス王国が滅亡したなどありえない」
「そうは言ってもですね・・・」
「我々は信じないぞ。まずは貴様を捕らえて人質にしてやろう」
そう言ってロマニア帝国一行は武器を構えてくる。
「アルフレッド様。お下がりください」
「あ〜。面倒だし僕が出るよ」
アルから見ればロマニア帝国一行は隙だらけだ。
兵士に怪我人がでてもよくないので一瞬でロマニア帝国一行の意識を刈り取った。
あまりの早業に兵士達は完全に出遅れた。
「取りあえず彼等は牢屋に。船の方も制圧するように」
「はっ・・・?」
あまりの事態に呆然とする兵士に笑顔を向ける。
「彼等を牢屋に。船の方も制圧いたします」
「うん。よろしく。それが終わったらマルコシアス王国とヒンメルン王国の王宮に使者を出しておいてね」
「了解いたしました」
1国の王族を拘束しているのだ。
独断で動くわけにもいかないだろう。
ロマニア帝国がサーキス王国とどういう関係だったのかはわからないが面倒事な気配がぷんぷんする。
「お疲れさま。どうする?」
「市場を見る気分でもなくなってしまったし城に戻ろうか」
「そうね・・・。休日なのにこんなことになるなんてアルは呪われてるのかしら?」
「冗談にしても笑えないね・・・」
とはいえ、お祓いを真剣に考えてみた方がいいのかもしれない。
サーキス王国の件もそうだが厄介事が多すぎる。
一部の神様から加護を貰っているはずなのだが・・・。
それともお気に入りに試練を与える的なあれだろうか?
出来れば勘弁してほしいところである。
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