第135話

休日返上で働いていたアルとフランだったが、補佐官の進言により強制的に休暇を取らされることになった。

というのも、上が働き続けては下の者が気にして休みにくいとのことだった。

「さて、休日を貰ったもののどうしたものか・・・」

「せっかくなら街に出てみませんか?」

「街に?」

「はい。お仕事で出ることはあっても遊びにいったことはありませんから」

「それもそうだね」

フランもアルも仕事として街に出たことはあっても遊びに行ったことはなかった。

「そうと決まれば着替えてきますね」

フランはそう言って自室に向かった。

アルも手早く準備を済ませる。

護衛の手配も済ませて待っていると30分ほどして準備を終えたフランがやってくる。

「それでは行きましょうか」

「はい」

2人は腕を組んで街に繰り出した。

1国の王都であっただけあり街はそれなりに栄えている。

物が不足しているため少し物価が高いがそれでも生活できなほどではない。

フランは服飾品を扱っているお店で何点か購入していた。

アルは古書店を見つけ気になった本を大人買いする。

喉が渇いたので喫茶店でお茶を飲みながら休憩することにした。

「この後はどうしますか?」

「そうねぇ・・・。どうせなら市場の方に行ってみない?」

「市場ですか。構いませんよ」

視察では何度か訪れているが個人的に行ったことはない。

以前から気になっていた物もあるし買ってみるのもいいだろう。

十分な休憩を取った後、アルとフランは市場までやってきた。

アルは早速とばかりに気になっていたブドウとブラックベリーを購入する。

フランも野菜や魚を買ったようで手に荷物を持っている。

「預かるよ」

「ありがとう」

アルはフランから買った物を受け取りアイテムボックスの中に収納する。

その後も市場をぶらぶらと適当に歩く。

港の方を見れば船が入ってくるところだった。

見たことのない旗を掲げている。

「見たことのない旗ね。行ってみる?」

「そうですね。行ってみましょうか」

野次馬根性を発揮して船に近づく。

しばらく眺めていると船からボートを降ろしている。

どうやら上陸してくるようだ。

ボートにはいかにも高そうな服を着ている人物が混じっていた。

そのままボートは港に横づけし港の警備の兵が対応している。

最初は穏やかな雰囲気だったのだが上陸した人物らが怒鳴りはじめる。

中には剣に手をかけている人物もいる。

このまま放置しておくわけにはいかないだろう。

休日であろうがこの地域を任されている立場としては見過ごすわけにはいかなかった。

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