第129話

アルとジェイクにマーカスは集まってある相談をしていた。

「アルがずっと交易に出ているというのも問題だろう」

「そうですね・・・。フランには随分と寂しい思いをさせてしまいました」

「そこでだ。新しい商会を作ろうと思うのだがどうだろうか?」

「いいですね。人員はうちから出しましょう」

そう言ってマーカスも乗り気だ。

「うちからも騎士団から出向させよう」

「では決まりですね」

ジェイクとマーカスが乗り気なら止める必要もないだろう。

船に関してはアルがいくらでも提供できるので問題ない。

「この話は決まりだな。ところで、サーキス王国の現状を知っているか?」

「噂話程度なら・・・」

「どうも国としての体裁を保てていないらしい。難民が押し寄せていてな」

「難民ですか?」

「追い返すわけにもいかないので保護しているがサーキス王国の国内は相当酷いことになっているようだ」

「介入するのですか?」

「うちは国境を接しているからな。このまま難民が押し寄せれば色々問題が起きる」

今はどうにかなっていても住居や食料の手配など負担が増えることになる。

「では、うちは海上から支援するとしよう。アルには念のため近隣の国から食料を買い集めてもらおう」

「わかりました」

「うちは騎士団を出して現地民を支援しつつ情報を集める」

「はぁ・・・。短期間でここまで迷惑をかけられるとは思いませんでしたね」

「そうだな・・・。思えばサーキス王国とはぶつかってばかりだ」

今までは海上の長として栄光を誇っていたというのに落ちぶれた物である。

まぁ、原因はマルコシアス王国艦隊とぶつかったことなのだが・・・。

マルコシアス王国としてはサーキス王国に思うところはない。

多少の問題はあれど国と国なのだから折り合いがつかないというのは普通に起きる。

解決する努力はすれどいちいち問題視していては国家運営などできないのだ。

例えば海賊を支援していたと思われるとしてそれを口実になどすれば王家の無能を晒すようなものだ。

賊に屈したと宣伝した場合、その国家は他の国々からその程度の国なのだなと思われる。

一度そのような評価を受ければ信頼を取り戻すのは難しい。

国際社会で孤立するというのは恐ろしいものなのだ。

現にサーキス王国は孤立して各国から取引を拒否られている。

その結果が国内の反乱なのだから国家としては致命的だ。

まぁ、今回の件はサーキス王国の王家の自業自得ではあるのだが・・・。

巻き込まれる形となった国民からすればたまったものではないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る