第127話

独立したマーラン共和国であったが1つ問題があった。

それは海上戦力である。

現在はマルコシアス王国艦隊が守っているがずっとこのままというわけにはいかない。

アルは小型の戦闘艦を提供することにした。

マーラン共和国の希望者を募りマルコシアス王国艦隊の船員を教官として海上訓練が連日行われた。

その結果、練度は低いがマーラン共和国は海上戦力を手に入れることに成功した。

「さて。アルフレッド様」

「何でしょうか?」

「一度お戻りください」

アルがマーラン共和国に滞在してかなりの月日が経っている。

「そうですね・・・。心配ではありますが後は彼等の頑張りに期待しましょう」

マルコシアス王国艦隊はヒンメルン王国の騎士達を連れて帰国することになった。

道中は問題が起きることもなく無事、ヒンメルン王国に帰国した。

真っ先に飛び込んできたのはフランである。

「アル・・・」

「すみません。色々あって戻ってこれませんでした」

「無事ならそれでいいの。何をしていたかは知っているから」

あのまま放置していれば違法薬物はもっと広がっていただろう。

それを考えればアルのしたことは誇るべきことだ。

それに今後のことを考えればマーラン共和国という友好的な国ができたのは大きなプラスだ。

戦力が整えばスンとの直接取引に加え、さらに東への航海を考えている。

とはいえ、それは今すぐでなくてもいい。

まだまだアルは若いのだ。

それにずっと放置する形となってしまったフランと一緒に過ごすのも悪くない。

「しばらくは休みですからゆっくりしましょうか」

「うん。アルが嫌だって言っても一緒にいるからね」

宣言通りに休みの間、フランはずっとアルに引っ付いていた。




サーキス王国では重鎮を集め国王であるルフェスが頭を悩ませていた。

「このままでは我が国は干上がってしまう」

各国は違法薬物を売りさばいていたサーキス王国に対して取引を止めていた。

食料は最低限、自給できているがそれだけだ。

様々な商品が入らなくなったことで貴族はもちろんのこと国民達からも強い不満が出ている。

「とはいいましても解決策はないのでは?」

「案を出すのがお前達の仕事だろう」

「そうはおっしゃられても・・・」

違法薬物の生成についてはルフェスの独断というわけではなくここにいる全員が関わっている。

自業自得と言える結果だが、誰も責任を取りたくないのでそこに言及する者は誰もいない。

「陛下。ここはウェスカー王子に責任を取っていただいては?」

元々、ここまで事態が悪化したのはウェスカーが原因だ。

ルフェスとしてもそれを理解していた為、処分を下すしかなかった。

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