第114話
アルとフランは与えられた部屋でのんびりと雑談をしていた。
「フランと王妃様が知り合いだとは思わなかったな・・・」
「元々、ヒンメルン王国とウィンブル王国は友好的な国ですから・・・。ロータス様が社交の場でアンジェラ様に一目惚れしたそうです」
「そういう目的もあるんだからおかしい話ではないかな?」
貴族や王族は親同士が決めた相手と結婚することも多い。
それ以外となると出会いの場を求めて社交の場に出ることになる。
アンジェラは侯爵家の娘なのでそれなりの家格を求められるがウィンブルの王族ならばそれをクリアできる。
後は当人同士の問題だ。
アンジェラも嫁ぐ決断をしたということはロータスのことを好いているのだろう。
「フランは社交の場に出たことはあるの?」
「何度か参加したことがあります。ですが、気になる相手はいませんでしたよ?」
「そっか・・・」
アルとしては気になる相手がいたのなら自分が邪魔をした形になる。
だが、そのようなことはなさそうだ。
「う〜ん・・・。アルって自己評価が低いですよね?」
「圧倒的に経験が足りていないし未熟なことを理解しているからね」
「そんなことはないと思いますよ?普通の人にはできないようなことをしていますし・・・。それにお仕事中のアルは格好いいですよ?」
「ありがとう」
アルは現在、異国との交易をまとめているし、空いた時間で翻訳作業などをしている。
どちらも莫大な富はもたらしている。
それを考えれば十分とも思えるが実父であるマーカスと義父であるジェイクに守られているのだ。
今後のことを考えればもっと成長しなければならないだろう。
と、ここでコンコンと扉を叩く音がする。
「今、いいかしら?」
声の主はアンジェラだった。
「はい。どうぞ」
「休んでいるところ悪いわね。ほら。いらっしゃい」
そういってアンジェラの後ろから現れたのは先程、見かけた女の子だった。
「はじめまして。私、ジュリアナ。ジュリアって呼んでね」
「はじめまして。アルフレッドです。アルでいいですよ」
「ジュリアちゃん。はじめまして。フランソワよ。フランでいいわ」
ジュリアはじーっとアルを見つめてくる。
「僕の顔になにかついてるからな?」
「ううん。同世代の男の子ってはじめてみるから」
「そうなんですね」
王族であることを考えれば接触する人は制限されるだろう。
同年代の男の子と関わりがなくてもおかしくはない。
「あらあら。アルに興味津々って感じね」
アンジェラはそう言って笑っていた。
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