第113話
アルとフランはそのままウィンブル王国の玉座の間に通された。
「遠路はるばるお越しいただき感謝する。私がウィンブル王国の国王であるロータス・ド・ウィンブルだ」
「アルフレッド・ド・マルコシアスと申します」
「妻のフランソワ・ド・マルコシアスです」
「そう固くならずに楽にしてもらいたい」
ロータスは人好きのする笑みを浮かべる。
歴史ある国であるためマナーに煩そうと思ったのだがそういうわけでもないらしい。
「こちらの品は友好の証です」
アルがそう言うと背後で待機していた騎士が被せてあった布を取り外す。
今回は砂糖をはじめ、交易で仕入れている品の中でも高額な商品を持ってきている。
「わざわざすまんな。後で返礼の品を運ばせよう」
「固い話は終わったかしら?フランちゃんお久しぶりね」
「お久しぶりでございます。アンジェラ様」
「もう。様なんていいのに」
「そういうわけにはまいりません」
「相変わらず固いんだから」
「お二人は知り合い・・・?」
「アンジェラ様はもとはヒンメルン王国の侯爵家のご令嬢です」
「なるほど・・・」
それならば二人が顔見知りでもおかしくない。
「アンジェラに一目ぼれしてな。無理を言って妻になってもらったんだ」
「急な結婚でしたからね。挨拶も満足にできなかったからフランちゃんのことは気になってたのよ」
二人の距離感を考えると距離の近さを感じる。
「アンジェラ様は私にとって先生であり姉のような存在なんです」
「少しの間だったけどフランちゃんは優秀な生徒だったわ。でも、そんなフランちゃんも結婚したのね。おめでとう」
「ありがとうございます」
「マルコシアス王国は小さな島国だと聞いていたが勢いを考えればヒンメルン王国にはしてやられたな」
「そうね・・・。年齢的に考えればうちの娘も残念がるでしょうね」
話を聞くとロータスとアンジェラの娘は7歳とのこと。
確かに年齢的なものを考えればおかしくない。
「まぁ。あの娘は政治的な思惑より遊びたい盛りだからね」
「そうだな。落ち着いているアルフレッド殿と比べると合わんかもしれないな」
7歳であればまだまだ遊びに重点を置くのが普通だ。
前世の記憶を持つアルがおかしいだけである。
「部屋を用意させている。長旅の疲れを癒してくれ」
「はい。失礼します」
アルとフランは使用人に案内されて客室に通される。
その途中、元気な女の子をみかけた。
年齢的に考えると話題に上がっていたウィンブルの王女様だろう。
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