第109話

ヒンメルン王国の王城に戻ってきたアルとフランはジェイクとセリュスを交えてお茶の時間を楽しんでいた。

今回、飲んでいるのはお土産として買ってきたスパイスティーだ。

「ほう。2人はスンまで行っていたのか」

「はい。上陸はできませんでしたが貴重な体験をさせていただきました」

「海上交易で我が国にも様々商品が入ってくるようになった。その影響もあって経済が活性化している。ありがたいことだな」

「刺激を受けて新しい商品が開発されるといいんですけどね」

今の交易商品に不満があるわけではない。

だが、同じ商品を運ぶだけでは面白味がない。

「それに関しては色々探してるんだけどね」

ジェイクも新しい商材を探してはいたようだ。

「そうそう出てくる物でもないですし気長に待ちましょう」

新商品の開発というのは言葉で言うほど簡単ではないのだ。

その後は雑談をして終わった。




部屋に戻ってきたアルとフランはまったりした時間を過ごしていた。

フランが大きな欠伸をする。

「そろそろ寝ようか」

「そうですね」

ベッドに2人で仲良く横になる。

最初は美少女が隣で寝ていることに緊張していたアルだが慣れてきたのか最近では気にならなくなっている。

横を覗いてみれば安心してすやすや眠るフランの横顔があった。

慣れない環境でよほど疲れが溜まっていたのだろう。

ゆっくり休んでほしいと思う。

アルはそんなことを考えながら意識を手放した。



ちゅんちゅんと鳥の鳴き声で目が覚める。

横を見ればこちらを見ているフランと目があった。

「フラン。おはよう」

「おはようございます」

「起きていたなら起こしてくれればいいのに・・・」

「そんなもったいないこと・・・」

「もったいない?」

「いえ、なんでもないです」

フランは誤魔化すようにベッドから起きると身支度をはじめた。

アルもベッドから起き着替えをすませる。

「アル。今日の予定は?」

「特に急ぎの予定はないけど・・・」

「なら、遠乗りにでかけませんか?」

「それも悪くないね」

船の上ではどうしても運動不足になる。

体を動かすのも悪くない。

「では、朝食を食べ終えたら行きましょう」

フランはとても生き生きしてそう宣言する。

「わかったよ」

アルは朝食を食べる前に使用人にある伝言をする。

朝食を食べ終えた頃に頼んでいた物がバスケットに入れられて届けられた。

「アル。それは・・・?」

「後でのお楽しみかな」

そう言ってバスケットをアイテムボックスの中に入れた。

アルとフランは動きやすい服装に着替えてから仲良く馬屋に向かった。

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