第107話
「それでは出発しましょうか」
アルの号令で艦隊はサンソンの港町を離れ進路を東に向ける。
目指すのはまだ見ぬ東の大国スンである。
ロンによると人口は多いが良港が少なく造船技術はあまり高くないそうだ。
近海に出るなら問題ないが遠距離航海に耐えられる船はほとんどないとのこと。
それでも、大国であるため支配海域では哨戒艦隊がかなりの数いるそうだ。
見たことのない国の船であるため、臨検のために止められることを覚悟しておいてほしいと言われた。
その予告通りにスンの哨戒艦隊に度々臨検を要求されたがその度にロンが対応してくれた。
「ご不便をおかけしましたが、もう少しで港町ケイに到着です」
港町ケイには多くの船が停泊している。
ロンの指示に従い船を停泊させると小型のボートがよってくる。
「役人ですね。私が対応します」
ロンがここまで来るのに見せていた許可証を見せると役人は2、3確認する。
「申し訳ありません。上陸許可をえられませんでした」
「いえ。治安のことを考えれば外国人をいきなり迎え入れるのは難しいでしょう」
「次回までには許可を取っておきます」
「ありがとうございます」
「それでは私は積み荷の積み降ろしの指示がありますので失礼します」
ロンはそう言うと役人と共にボートで去っていった。
待機すること1時間、人手を連れてロンが戻ってくる。
「お待たせしました。すぐに作業をはじめます」
ロンはてきぱきと指示を出しどんどん積んできた積み荷を降ろしていく。
それが終わると代わりの荷物を積み込んでいった。
作業が全て終わるとロンが改めて挨拶の為にやってくる。
「今回はありがとうございました。こちら報酬です」
渡された袋はずっしりと重い。
かなりの額が入っているようだ。
「ありがとうございます」
「後はこちらを。私は同行できませんがこれを見せれば無事に我が国の海域を抜けることができるはずです」
「わざわざすみません」
「いえいえ。大した手間では・・・。今回は、本当に助かりました。今後も、良い関係でいられることを祈っております」
ロンはそう言って去っていった。
「それでは僕らも行きましょう」
上陸できなかったのは残念だが目的は達したのだ。
長いする理由もない。
ケイを出発したアル達は哨戒艦隊に止められつつもロンの手配した許可証のおかげでスンの海域を無事に抜けることができた。
その後の航海も問題が起きることはなく港町サンソンまで無事に戻ってくることができた。
サンソンではジェフリーとマンハッタンが笑顔で迎え入れてくれた。
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