第106話

お店の中に入ると様々な匂いがする。

種類もかなりあるようで正直どれを買えばいいのかわからないほどだ。

「いらっしゃい。何かお探しで?」

「スパイスティーがほしいんですけど・・・」

「ふむ。お客さん見たところ外国の人だよね?」

「そうです」

「スパイスティーと言っても種類が色々あるからね。よかったら試飲してみるかい?」

「いいんですか?」

「買ってくれるなら構わないさ」

そう言って店員はいくつかのスパイスティーを選び出すとその場で淹れてくれる。

アルとフランはその様子を眺めていた。

「まずはこれ飲んでみて」

アルとフランはコップを受けとり飲んでみる。

「あっ。これも美味しい」

スパイシーな味であるのは変わりないが先程のものよりさっぱりしている。

アルとフランはその後も店員が淹れてくれたスパイスティーを堪能した。

「飲ませていただいたのを全て頂いてもいいですか?後、茶器も1セットください」

「毎度あり」

店員は手際よく商品を包んで渡してくれる。

アルは受け取った物をアイテムボックスに仕舞い込む。

その後も街の探索を続ける。

フランはアクセサリーだったり服を真剣に眺めていたりと探索は長時間にわたった。

だが、アルはこうしてフランと探索するのは嫌いじゃなかった。

普段、恋人らしいことをしてあげられないのだ。

こうして2人で過ごす時間をもっと大切にしていきたい。



港に戻るとジュエリー商会のマンハッタンとジェフリーが待っていた。

それだけでなく見慣れない顔の男の人もいる。

「アルフレッド様。お待ちしておりました」

「何かありましたか?」

「少しご相談がありまして」

「なんでしょうか?」

「こちらの方はここかから東に行ったところにある国の商人なのですが、輸送をしてくれる船を探しているとのことで・・・」

「うちの船を使いたいということでしょうか?」

「そうなります」

「そうですね。東の国には興味がありますしいいですよ」

「ありがとうございます」

「トンファー商会のロンと申します。お引き受けいただきありがとうございます」

「アルフレッド・ド・マルコシアスと申します。今回はよろしくお願いします」

「そうと決まれば荷を積み込んでしまいましょう」

商人3人はてきぱきと動き次々に荷物を積み込んでいく。

その積み込み作業は半日ほどで終わった。

元々、断られても大丈夫な品を先に積み込んでいたようだ。

それに追加でいくつかの荷を積み込むだけだったようだ。

さすが商人といったところだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る