第105話

危険海域を無事に抜けたアル達一行は無事に目的の港街サンソンに到着した。

「ここが異国・・・。ずいぶん雰囲気が違うのね」

「フランは国から出たことは?」

「残念ながらマルコシアス王国ぐらいしかないわ」

フランは公務に携わっていたが担当していたのは国内の仕事だけだった。

「そっか。案内できるぐらい詳しくないけど楽しまないとね」

ジェフリーに後を任せてアルとフランはボートで上陸する。

当然ながら護衛もついてきているがそこは気にしても仕方ない。

まずは市場に向かう。

以前、果物を購入した幼い子供は今日も露天を開いていた。

「兄ちゃんいらっしゃい」

「こないだもらった奴を2個もらえるかな?」

「毎度」

アルは代金を支払い果物を受けとる。

皮を剥いてからフランに差し出す。

「ありがとう」

「どうかな?」

「少し酸っぱいけど甘味もあって嫌いじゃないわ」

どうやらお気に召したようである。

「よかった・・・」

アルも自分の分を皮を剥いて食べる。

食べ終えたら再び市場の探索に戻る。

フランは色々な物に興味を持ちこの状況を楽しんでいるようだ。

その姿を見れただけでも同行を許可してよかったと思える。

一通り市場を見回りアルは提案する。

「少し休憩しましょうか」

「そうね。喉が渇いたわ」

アルとフランは喫茶店と思われるお店にはいる。

「いらっしゃい。注文はどうしますか?」

「お勧めの飲み物を2つお願いします」

「あいよ」

しばらく待っているとコップが2つ出てくる。

香りを嗅ぐと香ばしい匂いがする。

アルは一口飲むと刺激的な味が口に広がった。

「中々変わった飲み物ね」

「でも、悪くはないですよ」

「そうね。お土産に買っていこうかしら」

「ならお店の人に聞いてみますね」

「お願い」

アルはお店の人を捕まえて聞いてみる。

「すみません。これを買えるお店はないですか?」

「これってスパイスティーのこと?」

「スパイスティーと言うんですね」

「貴方達、外国の人?」

「そうです。仕事でこの国に来てまして」

「まだ小さいのに大変だね。いいよ。お店を紹介してあげる」

店員はそういうと地図を書いて渡してくれる。

「ありがとうございます」

「いいよ。うちの親戚がやってる店なんだ。売り上げに貢献してくれるなら安いもんさ」

そう言って人好きのする笑みを浮かべている。

スパイスティーを飲み終わり代金を支払うとアルとフランは教えられたお店を目指した。

教えられたお店は大通りに面しており繁盛しているようだった。

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