第103話

帰りの航路では特に問題も起きずに無事にヒンメルン王国に戻ってきた。

前回の交易は様子見の意味合いもあったのだろう。

今回の交易の謝礼として渡された額は前回よりも増えていた。

全額がアルに入ってくるわけではないがそれでも小遣いとして懐にいれるには躊躇うレベルだ。

「今後もよろしくお願いします」

ジェフリーはそう言って去っていった。

アルはマーカス宛ての手紙をその場で書き定期連絡の為にマルコシアス王国に向かう船に預けてヒンメルン王国の王都に向かった。

ジェイクに帰還したことを報告して与えられている部屋に戻るとフランが出迎えてくれた。

「おかえりなさい」

「ただいま。フラン」

「今回はどうでしたか?」

「問題がまったくなかったわけではないけど犠牲は出さずに済んだよ」

「それはよかったです」

「今回はお土産があるんだ」

そう言って買ってきた品々を取り出す。

「これは洋服ですか?こちらではあまり見ない柄ですね」

「どうかな?」

「綺麗ですし仕事も丁寧です。普段使いさせてもらいますね」

「うん」

フランは1着1着、服を確認している。

さりげなく民族衣裳も混ぜておいたのだがフランはその服を手にとって固まってしまう。

「アル・・・。これは?」

「現地の民族衣装らしいんだけど・・・」

「そうなんですね・・・。着たところをみてみたいですか?」

「着てくれるの?」

「アルが望むならいいですよ」

「おねがい」

「では、少し待っててくださいね」

フランはそう言うと民族衣裳を手に物陰に隠れる。

しばらく待っていると恥ずかしそうにしつつも着替え終えたフランがやってくる。

「どうですか・・・?」

その破壊力は抜群だった。

ちらりと見える胸元や動く度にミニスカートの中が見えそうだ。

他の人には絶対見せられない格好をフランがしてくれている。

「とっても似合ってるよ」

アルはそう言うのがやっとだった。

「アルも男の子ですね」

アルの視線に気がついたうえでそうフランが煽ってくる。

「独占したい・・・」

「独占したいって私はアルの物ですよ?」

少し恥ずかしさが薄れたのかフランが大胆に動く。

アルは鼻から何か暖かい物が垂れてることに気がついた。

ごしごしと擦れば血がついている。

どうやらあまりの光景に興奮して鼻血が吹き出ていた。

女性経験の浅いアルにはあまりにも刺激が強すぎたようだ。

それに気がついたフランが優しく介抱してくれた。

だが、民族衣裳を着たままだったので鼻血は中々収まらなかった。

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