第102話

所属不明の艦隊に襲われるというアクシデントはあったが無事に目的の港に到着した。

「ここからはお任せください」

ジェフリーがそう言って船員達に指示をだす。

積み荷を船員達がてきぱきと運び出していく。

「アルフレッド様はどうしますか?」

「そうですね。今回も探索に行ってきますね」

「わかりました。護衛を手配します」

アルは護衛と共にボートで上陸する。

前回は市場をまわったが今回は商店の並ぶ区域をぶらぶらする。

アルは服屋で足を止める。

独特な柄の服も多く品質は悪くない。

フランの為にいくつかの服を買い込む。

「坊主。女の子へのプレゼントか?」

店主がそう言ってくる。

「ええ。そうですよ」

「なら。これなんてどうだ?」

そう言って店主が出してきたのは露出の大きい服だった。

「これは・・・?」

「この辺の伝統衣装って奴だな。祭りなんかで着たりするんだ」

アルはフランがこの服を着ているところを想像する。

他人に見せるのは嫌だが着ているところ見てみたいと思ってしまった。

「これもください」

「毎度あり」

買った後で何て言って渡せばいいのかと悩むことになるがそれはまた別の話である。

その後も、個人的に香辛料を買ったり書物を購入したりと散財してから船に戻る。

港ではジェフリーとマンハッタンが積み荷の積み降ろしをしつつ会話をしているところだった。

「お疲れさまです」

「アルフレッド様。ご無沙汰しております」

「今回の商品はどうですか?」

「私共としては満足のいく結果です。これからも安定して供給してもらえると助かります」

「そうですか。余裕ができれば専門の艦隊を用意したいところですね」

今率いている艦隊はヒンメルン王国の防衛を目的に派遣されている。

ヒンメルン王国の海軍も充実してきているためその役目は終えつつある。

それを考えれば交易用の艦隊を新設するのも悪くない。

「専門の艦隊ですか。夢が広がりますね」

「そうですね。安定して商品が届くなら色々動きやすくなります」

ジェフリーもマンハッタンも商人である。

目の色が変わった。

「本国に確認が必要ですが利益が入ってくるなら認めてもらえるでしょう」

お金に困っているわけではないがいくらあっても困るものではない。

前回の交易でも黒字だったのだ。

マーカスの判断次第だがそれでも却下される可能性は低いだろう。

その為にも、今回の交易を無事に終わらせる必要がある。

来るときのようなことが頻繁に起これば話は変わってくるが一度コテンパンにしたのだ。

実力は十分に見せつけられたはずだ。

帰りの航海の様子を見て問題なければ進言してみよう。

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