第96話

アルは気がつけば真っ白い空間をさまよっていた。

「ここは・・・?」

「久しぶりじゃの。ここは神界じゃ」

アルは死んだときのことを思い出していた。

「安心せい。死んだわけじゃないぞ。精神だけを呼び出したのじゃ。

「そうなんですね・・・。というより、当たり前のように心の声を拾うのはやめてくれます?」

「すまんすまん。癖のようなものじゃ」

「はぁ・・・。それで呼び出した用件は?」

「お主。結婚したじゃろ?儂からも祝福してやろうと思っての」

「ありがとうございます?」

「なんで疑問系なんじゃ・・・」

「なんとなくです・・・」

「まぁ、良い。欲しいものがあれば何でも言ってみるといい」

「欲しいもの。欲しいものか・・・」

現状でも割りとチートなスキル持ちなのだ。

でも、どうせなら国の為になる物がいい。

そこで交易の制限について思い至った。

「家電製品を作ったりできる能力がいいです」

「ふむふむ。少し待っておれ」

そう言うと海神は誰かと会話しているのか表情がころころと変わる。

「話し合いの結果だがな。家電製品を持ち込むのはやめてほしいとのことだった」

「そうですか・・・」

認められないなら諦めるしかないだろう。

「その代わり、魔道具を作れるスキルをやろう。作り方は魔道具を作ったことにより迫害された一族に聞くといい」

「場所を教えてくれたりは?」

「残念ながら場所は教えられん。ゆっくり探してみることじゃの。ついでと言ってはなんだが他の神もお主に興味をもったようじゃ。ステータスを見てみるといい」

ステータスを見ると剣神の加護と魔法神の加護に鍛冶神の加護が新たに増えていた。

「こんなに貰ってもいいんですか?」

「気にするな。あやつらの気まぐれじゃからの」

「気まぐれって・・・」

「お主は好きに生きればいい。儂らはいつも見てるからの」

その言葉を最後に意識が遠ざかっていく。




目を覚ますと隣ではフランが気持ち良さそうに眠っている。

ステータスを見れば先程のことが夢ではないことがわかった。

まぁ、あって困るようなものでもない。

好きに生きればいいといっていたのだ。

魔道具は気になるがのんびりと作れる一族を探せばいいだろう。

人生急いでもいいことはないのだから。

フランを起こさないように起きだしたアルはバルコニーに出る。

アイテムボックスから本を取り出すと椅子に座って本を読みはじめた。

気がつけば部屋からフランの呼ぶ声がする。

部屋に戻って挨拶を交わす。

今日もいつも通りの1日がはじまった。

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