第90話

サーキス王国の玉座の間にて3人の王が顔を会わせていた。

「まさかマーカス殿とこのような場所で会えるとは思わなかったぞ」

「私が出張ってきたのは保険のつもりだったのだがな・・・」

「まぁ。再会を喜ぶのはこれぐらいにして今後のことを話そう」

「そうだな。とはいえ難しい話になりそうだ」

サーキス王国を滅ぼすのは簡単だ。

だが、そうするとあまいにも影響力がでかすぎる。

本国は陥落したとはいえ戦力はまだあるのだ。

「私としては賠償金に領土の割譲でどうかと思っているのだが」

「領土の割譲はどうか考え直してほしい。植民地ならいくらでも持っていっていいから」

「植民地ねぇ・・・。維持するのが大変そうだからパスだな」

「そうだな。うちとしてもいらん」

「そこをなんとか・・・」

ルフェスとしても必死である。

ここで本国の領土を削られればサーキス王国はかなり国力を落とすことになる。

「悪いが負けたお前達が悪い。諦めてくれ」

そうきっぱりとジェイクは言いきった。

「さて。賠償金の話だがな・・・」

ルフェスとしても覚悟していたつもりだったが額を聞いて顔色がどんどん悪くなっていく。

一括で払えない額だったため分割で支払うしかない。

そして、分割で払うことにより利子の請求もされた。

余計な出費を避けるためにはできるだけ早く払いきる必要がある。

「まぁ、頑張ってくれ」

そう言ってマーカスとジェイクは去っていった。

ルフェスを殺さなかったのにはそれなりに理由がある。

後継者があまりにも頼りないのである。

マーカスは話でしか聞いていなかったがそれでも後釜としてはダメだろうと思った。

ルフェスは結構な高齢であるが老骨に鞭を打って頑張ってもらうしかない。

マーカスとジェイクはそれぞれ部下を待たせている状況なのでこの場で別れた。

それぞれ監視の者を残してヒンメルン王国に引き返す。




ヒンメルン王国の王城で再開したマーカスとジェイクは酒を飲み交わしていた。

「今回は助かった。改めて礼を言う」

「うちがきっかけみたいだったからな。こちらこそ申し訳ない」

「それにしても被害を聞いたが大丈夫なのか?」

「船のことなら心配しないでくれ。本国に戻ればいくらでも補充できるからな」

「そうか・・・」

「それで今後はどうする?」

「うちとしては余裕ができれば東の国々と交易をしたいと考えている」

「そういうことなら伝手のある商会に話を通しておこう」

「助かるよ」

「仕事の話はこれぐらいにして今日は飲むぞぉ!」

「改めて我らの勝利に!」

『かんぱぁ〜ぃ!!』

マーカスとジェイクは上機嫌で次々にお酒に手を伸ばす。

次の日、2人そろって二日酔いで苦しむことになるがたまにはいいだろう。

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