第89話

マーカスの率いる艦隊はマルコシアス王国のなかでも精鋭だ。

乗っている魔法使いの腕もよく艦隊はカタログスペック以上の性能を発揮して物凄い速度でサーキス王国を目指して突き進む。

後少しでサーキス王国の海域に入るというところでボロボロの艦隊を発見した。

報告にあった派遣艦隊と交戦した艦隊だろう。

派遣艦隊の状態を考えれば追撃するのは不可能だった。

それゆえの油断だろう。

「行きがけの駄賃だ。砲撃用意」

マーカスの指示で各艦が攻撃の準備を整える。

相手もこちらに気がついたのか体勢を整えている。

各艦が距離を保ちつつ一斉に砲撃を加える。

それだけで敵の残存艦隊のほとんどの艦が致命傷を受ける。

マーカスは油断することなく容赦なく敵艦隊に砲撃を続けさせた。

全ての敵艦を撃沈しそのままの勢いでサーキス王国の港町を襲撃する。

戦える艦をほとんど投入していたのか抵抗が弱く拍子抜けするほど簡単に降伏してきた。

人員を残しても維持し続けるのが大変なためそのまま放置して次の港町を目指す。

結局、王都となっている港町までは抵抗をほとんど受けることなく進撃を続けることになった。




地上を行くヒンメルン王国の陸上部隊は王都まで後少しというところまで進行していた。

王都ということもあり高い城壁に守られている。

ジェイクは虎の子である魔法使いに指示を出す。

その魔法使いが魔法を発動させると城門で凄まじい爆発が起きる。

この魔法はアームストロング砲を魔法で再現できないかと研究した成果だった。

残念ながら威力も射程もアームストロング砲に劣るがそれでも動かない標的を狙うなら問題ない。

何発も当てればいかに堅牢な城門でも破壊できる。

無事に城門を破壊して配下の兵士達が突撃していく。

この様子ならそう遠くないうちに王都の制圧も完了するだろう。




サーキス王国の国王であるルフェスは頭を抱えていた。

陸地側からはヒンメルン王国に攻められ海からもマルコシアス王国の艦隊に攻められている。

籠城するしかないが援軍のあてなどない。

「陛下。城門が破られました」

「そうか・・・。どうしてこうなった・・・」

自分達は強国のはずだった。

だというのに蓋を開けてみれば惨敗だ。

「降伏だ。ただちに全軍に降伏するように指示を出せ」

ルフェスにできることはこれ以上の犠牲者を出さないようにすることだけだった。

ほどなくして玉座の間にヒンメルン王国の兵士達が乗り込んできてルフェスは虜囚の辱しめを受けることになる。

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