第88話
マルコシアス王国の派遣艦隊は被害を出しつつも前線を維持していた。
相手の船の方が被害が大きいのだがこれだけの被害を受けても撤退しないところをみると執念のようなものを感じる。
マルコシアス王国の派遣艦隊の失った船は小型の戦闘艦が18隻。
中型の戦闘艦が3隻。
大型の戦闘艦が1隻だ。
他の船もところどころダメージを受けており無事な船は1つもなかった。
相手はその結果に満足したのかようやっと引き上げていった。
マルコシアス王国の派遣艦隊はスーウェンの港街に戻り応急処置を施す。
これは一度、本国に戻り船を入れ換えた方がいいだろう。
そんなことを考えているときにマーカスの率いる艦隊が到着した。
「これはまた被害がでかいな」
「申し訳ありません。お預かりした船を守れませんでした」
「いや。多勢に無勢だったのだろう?そのような状態でよく戦った。後は任せてくれ」
この時にはヒンメルン王国の陸上部隊はサーキス王国の中枢まで進軍していた。
「さて。諸君。長旅で疲れているだろうがもう一働きしてもらおう。我々は同盟国のヒンメルン王国を支援するためにサーキス王国に海上から圧力をかける」
「喜んでお供させていただきます」
「派遣艦隊の諸君は動けるようになったら本国に戻るように。アルの指示に従ってくれ」
「了解しました」
指示を出し終えたマーカスは艦隊を率いてサーキス王国を目指した。
サーキス王国の艦隊は自国を目指して航海していた。
かなりの大艦隊だったにも関わらず戻れた船は少ない。
だが、マルコシアス王国の艦隊にかなりの被害を与えた。
物資の乏しいマルコシアス王国の艦隊が再編されるのには自分達以上に時間がかかるはずだ。
その間に海上に君臨するのは自分達、サーキス王国だ。
そのことを考えれば溜飲も下がるというものだ。
この時、自分達の母国であるサーキス王国が滅亡の淵に陥っているなど想像もできなかった。
ジェイク率いるヒンメルン王国の陸上部隊はサーキス王国相手に快進撃を続けていた。
進行には警戒していたようだが陸上大国であるヒンメルン王国の実力とはお話にならないほど差があったのだ。
数だけは用意したようだが、それで止められるほどヒンメルン王国の地上部隊は優しくない。
主要の都市を怒涛の勢いで制圧していく。
ジェイクはこの結果に満足していなかった。
それは海上で頑張っているマルコシアス王国の派遣艦隊の被害が大きいと報告を受けていたからだ。
少しでも負担を軽くするために進行速度を上げる必要があった。
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