第84話
ヒンメルン王国に到着したアルはトーマス伯爵の館で一晩お世話になった後、ヒンメルン王国の王都を目指した。
今回は少しでも早くフランに会いたいため途中の貴族領はスルーさせてもらった。
その結果、ヒンメルン王国に入って3日目には王都に到着していた。
そのまま王城を訪ねると国王であるジェイクが迎えてくれた。
「久しぶりだな。しばらく忙しくなるとのことだったが用事は終わったのか?」
「はい。無事に終わりました。こちらにも近々成果を見せられると思います」
「フランが拗ねてたぞ」
「どうしたら・・・」
アルは恋愛初心者である。
拗ねている女性の扱い方など当然知らない。
「そうだな・・・。まずは謝る。そして話せる範囲で事情をできる限り説明する。これでなんとかなるはずだ」
「経験談ですか?」
「王位を継いだときは慣れない仕事ばかりでな。よく、怒らせたんだよ」
「なるほど・・・。参考にさせてもらます。フランは部屋ですか?」
「この時間ならテラスでお茶を飲んでいるはずだ。案内させよう」
「ありがとうございます」
アルは使用人に案内さえ日当たりのよいテラスに案内される。
そこには本を読みつつお茶を楽しむフランがいた。
「フラン。放っておく形になってごめん」
「アル・・・。アルだぁ。寂しかったんだからね」
「ごめん。どうしても僕がいないとダメだったんだ」
「お仕事だってわかってます。無事に戻ってきてくれた。それだけで嬉しいです」
アルはヒンメルン王国を発ってからのことをフランに説明した。
「新しい大陸ですか?」
「うん。他の人は言葉がわからないからね。それで・・・」
「それは仕方ないですね」
「色々手に入ったからフランにも楽しんでもらいたいな。よかったらしばらくうちの国に来ない?」
「喜んで。お父様に許可を取ってきますね」
フランは笑顔でそういうとそのままジェイクの執務室に突撃していった。
アルは慌ててそれを追いかける。
「アルフレッド殿。話は聞いた。先程は話さなかったが少々ごたついていてな。しばらくフランを預かってくれると助かる」
「どこの国と揉めているんですか?」
「揉めているわけではないがサーキス王国の動きが少しおかしくてな」
「また、あの国ですか・・・。わかりました。フランの身は責任を持って守ります」
「よろしく頼む」
アルはフランを連れてスーウェンの港町にとんぼ帰りしてそのままマルコシアス王国に向かった。
フランとしては自国のことも気になっているようだ。
今頃、女性の船員が実戦経験を積んでいるはずだ。
ヒンメルン王国に追加の戦力を派遣するようにマーカスに進言してみよう。
それでフランの心配が少しでも解消されるなら安いものである。
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