第81話
翌日、アルは朝食を食べながら3人にカカオと珈琲の加工方法を知らないか聞いた。
「加工方法か。味は保証しないが一応知ってるぞ」
「基礎がわかるだけでも助かります」
「なら、いくつか用意してほしいものがある」
アルは使用人を呼び出して頼まれたものの手配をした。
城の調理場を借りて早速、教えてもらう。
「まずはカカオからだな」
3人に教えてもらいながらカカオの加工をおこなった。
行程が思ったより多く想定したいたよりも長時間拘束されることになったが無事にアルの知っているチョコレートが完成した。
味はお世辞にも美味しいとはいえなかったがそれはこれから改善するしかないだろう。
この日はチョコレート作りだけで終わってしまった。
翌日、珈琲の加工方法を教えてもらった。
浅煎り、中煎り、深煎りと3種類作ってくれたのだが、アルの飲み慣れている物は深煎りの物だった。
作り方を城の料理人に伝え味の改良は任せることになった。
彼等もプロなので新しい素材に興味津々で快く引き受けてくれたので一安心である。
翌日、アルと3人の姿は畑にあった。
持ってきた野菜の育て方も教えてもらう。
本業の農家の人にも参加してもらいアルが翻訳しつつ少量のジャガイモとトマト、トウモロコシが植えられた。
こちらはすぐに結果が出るものではないので実際に育つかはまだわからないが、無事に実ってくれれば良いなという感じである。
一通り持って帰ってきた物に目処がついたところでアルは客人を迎えていた。
メール大陸の言語を学んでいる船員達である。
彼等は彼等で集まってそれぞれで教えあっていたそうだが、どうしてもわからない部分がありそれを聞きにきたとのことだった。
アルは丁寧に質問に答える。
疑問が解消されてスッキリとしたのか彼等は晴れやかな気持ちで帰っていった。
アルはそのときに彼等にある課題を出した。
覚えにくい物や注意すべき点をまとめるように指示を出したのだ。
これは最初からチート能力である言語理解を持っているアルにはできない仕事だ。
これから後に続く人達の為にも彼等には頑張ってもらいたい。
客人である3人もその様子を見てあるお願いをしてきた。
こちらの言語を少しでも覚えたいとのことである。
アルは快く引き受け教材を用意することにした。
準備に2日ほどかかったが無事に教材は出来上がり簡単な言葉から教えはじめた。
アントニーは元々、片言で喋れたこともあり習得速度が早かった。
残りの2人も苦戦しつつも少しずつ覚えられているようだ。
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