第80話
「アルゥ〜。忙しいのはわかっているけれどお母さんは寂しかったんだからね」
「すみません・・・」
ここは謝るしかない。
「ダメですぅ。こちらにいらっしゃい」
アルは大人しくエルドラの隣に腰かける。
するとエルドラはそのまま抱きついてくる。
「お母様・・・?」
「アル成分補充中ですぅ」
今までこのような扱い方をされたことはなかったのだが・・・。
しばらく大人しくしていると解放された。
「何か話があるんじゃないかしら?」
「お母様も色々動いてるみたいですね。女性だけの船員を育てると聞きました」
「あぁ・・・。お船はアルはいくらでも用意できるでしょ?余らせておくのももったいないと思って」
「それで女性船員の育成を?」
「まぁ・・・。懸念もないわけではないんだけどね」
「そうですね。他国の船と戦闘になって捕虜になったりしたら大問題ですからね」
「そこはあまり心配していないわ。アルのお船の兵器はすごいからね。それでも、しばらくは近隣での活動だけの予定だけど」
「お母様にちゃんとしたビジョンがあるならいいです。僕は応援しますよ?」
「ありがとう。アルが応援してくれるなら百人力ね」
「困ったことがあったら言ってくださいね。できる限り力になりますから」
「そうねぇ。アルがもう少し落ち着いてくれることかしらね」
それを言われると痛い。
考えてみれば公務であるがほとんど自国にいないのだ。
「すみません・・・」
「貴方は賢い子だけど無事に帰ってくるかいつも心配なんだからね。それは覚えておいて」
「はい・・・」
親に心配をかけるのは違うだろう。
メール大陸への航海が終わったらフランを迎えに行って自国でのんびりしようと決めたのだった。
「それはそうと色々珍しい物を持ち帰ったみたいね」
「はい。大収穫でした」
「一部、使い道がわからないと言っていたからフォローしておいてね」
「あぁ・・・。僕も細かくはわからないのもあるので後で聞いておきます」
珈琲とカカオが手に入って喜んでいたが考えてみれば加工方法など知らなかった。
アルが知らないということは東の大陸に持ち込んでも誰も加工方法などわからないだろう。
交易品として扱うために加工方法も同時に広めなければ意味がない。
後は受け入れられるかは未知数だ。
その辺の考えが及んでいなかったのは反省すべきだろう。
もし、受け入れられなかった場合は残念ながら優先度が低くなる。
それはできれば避けたい。
後で考えられるだけの販売方法をまとめようと決めたのであった。
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