第79話
アルは3人を連れて街の探索を続けていた。
そこで船員を育てる学校の隣に新しい建物が建築中なことに気がついた。
警備をしている人に聞いてみる。
「これは何の建物ですか?」
「これですか?女性の船員を育てるための学校ですね」
「女性の?」
「はい。なんでもエルドラ様が女性にも働ける場所をとおしゃったそうで・・・」
「学校を卒業しても男性と同じ船に乗るんですか?」
「いえ。女性だけで運用する予定らしいですよ」
「なるほど・・・。一緒にすれば問題が起きる。ならば別々にすればいいわけですね」
「アルフレッド様は上手くいくと思いますか?」
「力仕事も多いですからね。課題はあるでしょうけど僕は良い考えだと思いますよ」
今までは船員は男性の仕事だった。
だが、この計画が上手くいけば人手不足の状態がかなり改善されるだろう。
地域によっては船に女性を乗せるなんてと忌避感を懐くだろうが、幸いマルコシアス王国にそう言った考えはない。
「計画はどれぐらい進んでいるんですか?」
「建築が終わるのが1ヶ月後ぐらいですね。講師陣は退役軍人が担当します。少しずつ女性に置き換えていくそうです」
1ヶ月後ではアルはメール大陸に向かっているはずだ。
卒業する頃には戻ってこれるはずなので視察をするのもいいだろう。
こっそりと予定に組み込んだ。
3人はアルが話し込むのを見てじっと待っていてくれた。
「この建物は?」
「僕も初耳だったんですけどね。女性の船員を育成する学校だそうです」
「女性を船に乗せるのか?」
「メール大陸では女性は船に乗らないんですか?」
「海の神が怒ると言われているな」
「宗教的な理由ですか?」
「いや、そういうわけではないが迷信のようなものだな」
「なるほど・・・。どちらにせよ混乱を避けるために女性だけの船を送るのは避けた方が良さそうですね」
「それが無難だろうな」
メール大陸からこちらに渡ってきた人は最初驚くかもしれないが少しずつそういうものだと常識を会わせていくしかないだろう。
「そろそろ戻りましょうか?」
「そうだな。日も傾いてきたしはしゃぎすぎて少し疲れた」
他の2人も思っていることは同じようだった。
城に戻ると夕食は既に用意されており4人で食事を取った。
食事を終えると疲れたと言っていたのは本当のようで寝るとのことでそれぞれ部屋に引き上げる。
アルは忘れていたわけではなかったがエルドラに顔を見せにいくためにエルドラの部屋に向かった。
エルドラは顔を見せにきたアルを見て少し怒った顔をしていた。
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