第76話
アル達はメール大陸での交流を終え帰路についた。
その際、3人の若者を預かっている。
1人は港町のまとめやくであるアンソンの息子のアントニーであり彼はメール大陸では珍しく文字を書くことができた。
船団の指揮をアルが常に執る必要はなく移動の時間をアントニーと共にメール大陸語の翻訳作業に当てることにした。
筆談でもいいのでお互いに会話できるようにするのが急務だった。
メール大陸との交易のたびにアルが同行するわけにもいかないからだ。
翻訳作業は順調に進み1ヶ月後には簡易版の翻訳辞典が完成した。
船員の中から5名を選出してメール大陸語講座がはじまった。
船員達は見慣れぬ文字に悪戦苦闘しているが焦ることはない。
マルコシアス王国に着くのが1ヶ月後。
そこから1ヶ月休暇を挟むことになる。
メール大陸に向け出港して着くのが2ヶ月後だ。
期間としては残り4ヶ月ある。
それまでに覚えればいいのだ。
アントニーは翻訳辞典を作っているときも思ったが学習意欲が高く、この1ヶ月で片言であるが船員達とコミュニケーションを取れるようになっていた。
他の2名についてもボディーランゲージで船員達と積極的に交流をする姿が見られた。
航海は順調に進み予定通りにマルコシアス王国に到着した。
港に到着したとき、客人3人は興奮した様子ではしゃいでいた。
メール大陸語を学んでいる船員にはわからないところがあればいつでも訪ねてくるようにと伝えて客人3人を連れて王城に向かった。
玉座の間に通され、マーカスが暖かく迎えてくれる、
「ご苦労だった。そちらが例の客人だな?」
アルは通訳しつつ会話する。
「はい」
「客間を用意させている。まずは疲れを癒すといい」
「それでは失礼いたします」
アルは自ら3人を客間に案内して何かあればベルを鳴らすようにといって自室に下がった。
アルは自室に下がった後、休むことなく今回の航海についての報告書を書き始めた。
時間はあっという間に過ぎ気がつけば日が傾いている。
作業はまだ終わっていないがアルは自室を出て3人の様子を見に行くことにした。
3人は落ち着かないとのことでアンソニーの部屋に集まっていたようだ。
「そろそろ食事の時間ですけどどうしますか?」
「すまないが部屋でとってもいいだろうか?」
「わかりました。部屋に運ぶように伝えますね」
アルは使用人に4人分の食事を運ぶように指示を出すのだった。
アルは食事をしつつ3人に話を聞くことにするのだった。
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