第66話
マルコシアス王国艦隊とソラニア王国の艦隊は何かと理由をつけてサーキス王国の支配海域に居座り多くの海賊を捕縛しては犯罪者の受け渡しをサーキス王国の貴族に求め大金を稼いだ。
全ての海賊を排除できたわけではないがこの結果に満足して両国の艦隊は帰国の徒についた。
「ようやっと、去ってくれたか・・・」
港町を治めるサーキス王国の貴族達は安堵の息を吐いた。
中には両国の艦隊に攻撃を仕掛けようとした考えた者もいた。
だが、国王であるルフェスから手を出すなと命令がきていたのだ。
数ではサーキス王国の艦艇の方が勝っている。
だが、強力な砲を持つマルコシアス王国の艦隊を相手にすれば多くの船を失うことになるだろう。
そうなれば戦力の建て直しにどれだけの費用と時間がかかるかわからない。
それを考えれば我慢するしかなかった。
ルフェスは今回の海賊達の引き取り費用を王家で負担すると宣言した。
そうしなければ鬱憤の溜まった一部の者が暴走する可能性もあった。
今回の海賊引き取りの費用は王家としても小さくない。
それを補うために植民地からさらなる富を巻き上げるしかない。
特別編成された艦隊を植民地の各地に派遣した。
それと同時に衛兵達に指示を出した。
海賊行為をした者の一斉摘発である。
海賊達は常に海の上にいるわけではない。
陸に溜め込んだ富を回収し犯罪奴隷として労働力として利用する。
街には多くの怒声と悲鳴が響いたが王宮は静かなものだった。
アル達は無事にヒンメルン王国に戻ってきていた。
ヒンメルン王国の王宮では祝勝会が設けられている。
「いやぁ。予想外に儲かりましたね」
「これだけの海賊を討伐したのです。周辺国も感謝することでしょう」
実際、海賊被害に困っていた多くの国家は討伐してくれたお礼にと謝礼金と特産品をヒンメルン王国とソラニア王国に送ってきていた。
それだけではなく、今まで国交を持っていなかった国からも外交官を送りたいと申し出があったりと反響は止まることを知らなかった。
立役者であるアルの周囲には多くの令嬢が集まっていた。
フランと婚約はしているのは知っているがあの手この手で篭絡しようとてを伸ばしてくる。
アルとしてもどうしたらいいのかわからず困惑していた。
アルの後ろからフランが声をかけてくる。
「アルフレッド様は私の物です」
そう宣言してフランが後ろから抱きついてくる。
フランは周囲にいた令嬢達を威嚇する。
マナーとしてはあまりよろしくない行動だがアルはほっとした。
「フラン。ありがとう」
「いいえ。自分のためですから」
少々ばつの悪い顔をしているがそんな顔もアルには威力的に映っていた。
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