第63話

ヒンメルン王国の玉座の間にアルは呼び出されていた。

そこにはヒンメルン王国の重鎮達も集められておりアルはその中に混じっている形だ。

「お初目にかかります。私はソラニア王国で軍務卿をしております。セルピッダ・フォン・マルハッタンと申します」

「ヒンメルン王国。国王、ジェイク・ド・ヒンメルンだ。遠路はるばるご苦労であった。折り入って相談があるとのことだが?」

「はい。近頃、サーキス王国の庇護を受ける海賊達からの被害が広がっているのはご存じでしょうか?」

「話には聞いている」

「我が国も被害が深刻でして、海賊の駆除に協力していただきたい」

「我が国は陸軍国家であり海に関しては力になれそうにないのだが?」

「それは存じております。ですが、強力な同盟国をお持ちでいらっしゃる」

「確かに我が国の同盟国は強力な海軍を持っている。だが、私の一存で決められることではない」

「無理を言っているのはわかっておりますが、貴国から要請をしていただけないでしょうか?」

「要請と言われてもな・・・」

「協力していただけるなら我が国はなんでもいたします」

「ふむ・・・。相談はしてみよう」

「ありがとうございます」

そう言ってソラニア王国の使者は下がって行った。




「アルフレッド殿。この話、どう思う?」

「そうですね・・・。ソラニア王国はかなり資源が豊富な国ですよね?」

「そうだな。もし、資源を輸入することができれば利益になるのは間違いない」

「国のことを考えれば受けてもいいと思います。ですが、サーキス王国との関係は悪化するでしょう」

「今更だな。あの国との関係はこれ以上悪くなりようがなさそうだが?」

「それもそうですね。派遣されてきている全ての艦隊を投入するわけにはいきませんが一部なら可能でしょう」

「陸側から圧力をかけはするが海はアルフレッド殿に任せることになる。それでも構わないか?」

「最善を尽くします」

アルは護衛の騎士を引き連れ使者の滞在している部屋を訪れた。

「貴方は・・・?」

「マルコシアス王国。第一王子、アルフレッド・ド・マルコシアスです。貴国からの要請に応える為に参りました」

「ありがとうございます。我が国はこれで救われる」

使者であるセルピッタは泣いて喜んでいる。

資源があっても輸出に問題を抱えて相当困っていたのだろう。

アルはセルピッタと共に詳細を詰めていった。

作戦が成功した場合はヒンメルン王国とマルコシアス王国に優先的に資源を売ってもらえることになった。

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