第45話

アル達はヒンメルン王国の誇る近衛騎士団に囲まれていた。

「お待ちしておりました」

「この状況は・・・?」

「はっ。陛下の命によりアルフレッド様をお迎えにまいりました」

「なるほど・・・。ですが、今回は私だけの来訪ではありません。少し待ってもらっても?」

「はい。我らはいくらでも待ちます」

アルは急ぎ乗って来た船に指示を出す。

小型の戦闘艦は魔法まで併用して迅速にマーカスを連れて戻ってきた。

「失礼ですが、こちらの方は?」

「私の父であるマルコシアス王国国王。マーカス・ド・マルコシアスです」

「失礼いたしました。我が国への来訪を心より歓迎いたします」

「うむ。できればヒンメルン王国の国王と会談を設けたいのだが?」

「王都までご案内するようにと命令を受けております」

「そうか。よろしく頼む」

「それでは、私は不在時の仕事がありますのでこれで失礼いたします」

トーマスはそう言うと迎えに来ていた馬車に乗り込んだ。

アル達もヒンメルン王国が手配していた馬車に乗り込む。

アルもマーカスと同じ馬車に乗ろうとしたのだが、フランの強い要請によりフランと同じ馬車に乗り込む。

全員が乗り込んだのを確認して周囲を近衛騎士団に囲まれ馬車は出発した。

ここから王都までは1週間ほどかかるとのことだ。

フランがスーウェンの港町にたどり着いたのはもっと早かったと思って質問すると、緊急事態ということで慣例を色々無視した結果とのことだった。

本来、王族、貴族が移動する場合は領都を経由してお金を落とす必要があるそうだ。

その為、王都に着くまでそれなりの時間がかかるのだという。

だが、アルが退屈することはなかった。

フランが何か見えるたびに丁寧に解説してくれたからだ。

はじめて見る風景は心踊るものだった。

途中で立ちよった領主達の対応も非情に丁寧なものだった。

不快な思いをさせないようにと非常に細やかな心遣いを感じる。

それもそのはずで、国王であるジェイクからの指示もあるが、彼等はマルコシアス王国との取引で特をするもの達である。

砂糖を運ぶ際には彼等の領地を通ることになる。

それによって得られる利益は決して少なくない。

少しでも印象をよくしたいという意識が働いた結果だ。

今まで砂糖はサーキス王国から高い代金を支払って輸入するしかなかった。

だが、マルコシアス王国から仕入れられることで大幅な節約となる。

今までどれだけサーキス王国のサンダース商会が暴利で売りつけていたかわかろうというものだった。

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