第44話

アルとフランは探索を終えて城に戻ってきた。

アルはフランと別れた後、マーカスの執務室に向かった。

「おぉ。アル。おかえり」

「ただいま戻りました」

「こちらに来たということは何かあったのかな?」

「実は・・・」

アルは喫茶店の店主から頼まれたことをマーカスに報告する。

「ふむ・・・。茶の木の栽培か。使われていない土地の有効活用という意味では悪くない。だが、本当に輸出品として扱えるかだが・・・」

「フランソワ様に確認しましたが、大陸では紅茶をよく飲むそうです。品質の向上を目指すのはもちろん大切ですが、まったく売れないということはないはずです。問題は収穫できるようになるまで時間がかかるということですね」

「そうだな・・・。すぐに人員を用意しよう」

「お願いします」

「それと急な話しで悪いのだがな、トーマス殿との話し合いの結果、明日にはヒンメルン王国に向け艦隊を率いて出発することになった」

「その口ぶりだと直接出向くのですか?」

「その予定だ。アルにも同行してもらいたい」

「それは構いませんがお母様はどうするのですか?」

「エルドラには悪いが今回は留守番だ」

「きっと拗ねますよ?」

「わかっているが、これも国のためだ」

国王としての判断だというならこれ以上言ってもどうにもならないだろう。

せいぜいできるとしたら喜びそうなお土産を用意するぐらいである。




翌日、準備を終えて港に向かった。

編成としては大型の戦闘艦が2隻。

中型の戦闘艦が10隻。

小型の戦闘艦が30隻。

中型の輸送艦が5隻である。

一時的に国内に残る戦力が少なくなるが最近では海賊の動きも鈍っているので何とかなるだろう。

今回向かう艦隊は王族の護衛であると同時に派遣されている艦隊の交代要員をかねている。

大規模になったのも仕方ない。

航海の途中で他の船と遭遇したりもしたが戦闘になったりはしなかった。

まぁ、この規模の艦隊に挑むような馬鹿はいないだろう。

もう少しでスーウェンの港町が見えるというところで派遣艦隊と遭遇した。

儀礼通りにやりとりをしてお互いの無事を祝いあう。

心配はしていなかったが、こうして無事を確認できてほっとする。

派遣艦隊は必要な物資を積み込んだらマルコシアス王国に戻るように指示を出した。

そのまま、マーカス率いる艦隊はスーウェンの沖に停泊する。

何もないと思うがマーカスはそのまま船で待機して安全を確保する。

アルとフランにトーマスが小型の戦闘艦に乗り換えてスーウェンの港町に上陸した。

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