第29話

ヒンメルン王国側の対応は素早かった。

というより早すぎた。

なんと、次の日には国王自らが話し合いの場に現れたのでる。

「私がヒンメルン王国国王。ジェイク・ド。ヒンメルンである」

「お父様?私に任せてくれるのでなかったのですか?」

「問題がなければ私も任せるつもりだった。だが、こうなってしまえば予め出向いていて正解だっただろう?」

「そうですが・・・」

「それで、アルフレッド殿。軍事同盟を結ぶとのことだったがどれぐらい戦力を提供していただけるのかな?」

「そうですね・・・。取りあえずは連れてきている中型の戦闘艦を5隻。小型の戦闘艦を10隻。国に戻り次第、追加の船を送ります」

「なるほど。大判振る舞いですな。しかし、独断でそのような判断をしても大丈夫なのか?」

「確かに我が国は建て直しの真っ最中で戦力に乏しいのは事実です。ですが、今後のことを考えれば大陸との繋がりは重要です」

「その繋がりに我が国を選んでくださると?」

「はい。実はサーキス王国とは過去に問題が起きていまして、我が国としては陸地側から圧力をかけていただけると助かります

「ふむ・・・。よろしい。この提案を受けよう」

「ありがとうございます」

こうしてマルコシアス王国とヒンメルン王国の軍事同盟が締結された。

「時に、アルフレッド殿には決まった相手は存在するのだろうか?」

「相手ですか?」

アルは何のことやらわからなかった。

「婚約者だ。もしいないなら、うちの娘はどうかと思ってな」

「お父様・・・?」

フランソワが顔を真っ赤にして焦っている。

「少々歳は上だが、器量もある。アルフレッド殿に自信を持っておすすめできるのだが?」

少し接しただけではあるがアルとしても悪い人ではないとはわかる。

だが、一存で決められる話ではないし婚約と言われても困惑しかなかった。

「申し訳ありませんが一度、国に持ち帰っても?」

「おお。考えてくれるか。よかったなフラン」

「もう。お父様何て知りません」

ちなみにフランの年齢は14歳である。

7歳であるアルとの年齢差は7歳だ。

王族や貴族の婚姻してももっと年齢が近いのが普通だが、ジェイクがこう言い出したのもわけがある。

艦隊を派遣してくれるのはありがたいが軍事同盟を結んだというだけでは理由が弱い。

だが、結婚相手の家だからと言う理由が加わればそれだけ相手との繋がりが強いことをアピールできる。

マルコシアス王国の艦隊はそれぐらい魅力的に映っていたのである。

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