第6話 勇者の兄は『覇王』様


「金か。金が必要というのは、このレッドエンドウォールを越えるためか。本格的に魔族の討伐を始めるようだな」

「ええ。でも、おかしいわよね。人類人族を救うために魔族の本拠地に向かうことに1番お金を使うんだから。戻って来ないことを前提として考えてるとしか思えないわ」

「それは俺も詳しくは知らん。死んではこの冒険の書に預けたお金を取り出すことはできなくなるからな。できる限り死ぬ前にお金を抜き出す必要がある。だが、生きるために武具や装備、物資に金をかけすぎると、今度はレッドエンドウォールを越える許可証が取れないときた。死ぬ気で挑まんと本当に死んでしまう。しかし、何故、今になって魔族討伐に力を入れたのか? 魔王が誕生する前の方があいつら馬鹿だったろうに」

「ん〜、そうねぇ。こんな場所で話すにはちょっと勿体無いから。ギルマスの部屋にでも行かないかしら」

「……話しづらいことか。わかった。俺の部屋は7階だ。ついてこい」


 自動昇降機エレベーターに乗り、2人無言で上る。

 初対面だからあまり話すことはないけれど、横目でギルマスを盗み見る。

 ギルマスの体は大きくワタシより若いのに筋肉は仕上がっている。シャツを押し上げるほどの胸筋。ピチッと音がしそうな上腕二頭筋。少し服に休息を取らせるくびれ。パンツの上からでもわかる太ももの太さ。大臀筋に引っ張られているシワ。なんか美味しそうに見えるし、何故か思いっきり叩きたい気持ちが高まる。いい筋肉。羨ましいわぁ。ワタシは筋肉が付きにくい体質みたいだから。太りもしないけど。グググ。


「おい、密室だからって昂るなよ。俺にそっちの趣味はねぇんだ」

「あら、そう? 仕方ないわねぇ。でも、ほんといい筋肉よねぇ、あなたの」

「おいおい、覇王にそんな趣味があったの憧れを抱く1人として知りたくなかったよ」

「いやねぇ、もう。昔は無かったのよ? 普通だったはずなんだけどねぇ」グググ


チーン


「タイミングの悪い音だな。着いたぞ。こっちだ」

「ふふ」

 掃除の行き届いた廊下を進み、一枚の扉に当たる。

 ギルマスの部屋の扉は重厚というよりは強固、そして豪華である。

 

「ここの扉の作りは違うのね」

「ああ、なんせ、この上の金庫に続く扉でもあるからな。うちの資金の最後の砦みたいなもんなんだよ、俺の部屋は」


ガッチャン!


 扉の先は、なんと豪華なことでしょう。王都の城の内部や教会本部の客室にも負けず劣らずの見栄えのいい部屋があるではないか。


 ギルマスの好みなのだろうか。

 煌びやかな物が多くあり、窓に掛かるレースカーテンはシミひとつない純白。床に触れるか触れないかのギリギリの長さ。

 色とりどりのカーペット。

 ガラスのテーブル。

 イスは贅沢に黒皮。

 ソファは白く、高級ウレタンを使用しているのかなかなかに快適な座り心地である。


「あなた、王族みたいな感性しているのかしら。こんな豪華にお金を使っちゃって」

「お茶でもいかがかな」


 そっとテーブルの上に置かれたミルクティー。


「あら、紳士。いただくわ。いい香りね。……ん、美味しいわ。昔いただいた王家御用達のお茶も完な感じだったわね」


 とても濃厚でコクもあり、少し重いが後から来る甘さがなんとも飲む口を止めてくれない。ストレートでもいいかもしれないが、ミルクの優しさを堪能できたのは嬉しい。ワタシを射止めるつもりかしら。

 

「気に入ってくれてなによりだ。……それで早速だが、先程の続きを聞いていいか」

「あなたの筋肉がとても魅力的であ」

「いや、そちらではなくもう少し前だ」

「そうねぇ。理由としては魔王が現れた、からじゃなくて、勇者が誕生したから。になるのかしら」

「ほう。それというと」

「あなたには言っても大丈夫かしらね。これからの私からの信用もかねて」


「私の最愛の妹が『勇者』だからよ」


「!!……なんと、なぁ。『覇王』の妹が『勇者』か。それは復活するか、伝説が」





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 オネェキャラがみんな男の尻を追いかけているとは思わないですが、作者がなにぶんソッチ系なもんで。無駄のない、そして芸術的な筋肉は大好きです。

 主人公がオネェキャラになった理由は作中にもあった先代勇者の口調を引き継いだこと。その娘を警戒させないように引き継ぎ続けたこと。その娘に欲情しないように心を女に変えたこと。が原因です。奥義二刀流も存在しますがイマハマダ


 好みの変化って凄いんですよ、ぶっちゃけると、中学で陸上やってた時に女子の先輩の走り高跳びで胸を反ったときに正面肋骨がうっすら肌から浮き出ることに対してドギマギしてたのが、高校の弓道で上半身を鍛える男の先輩の筋肉に流れる汗にグググってなってしまうくらいには変化するんすよね、はい。

 で、自分作者が若干のオネェ口調なのもあるので自己投影の自己満足です。キモいと思われるかもしれませんが、こんな人間もいますと。文字に起こして伝えられますと作者の心に深刻なダメージが入りますがソソります。


 いろいろ書きましたが、自分の中のオネェキャラのイメージが『コレ』です。

 強くてカッコいいはおそらく共通認識なのでそこを表現できるように推敲していきます。        


























マル。

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