第4話 お兄ちゃん、魔族が恐れる快進撃 . 2
『死霧魔界戦線』グランデリア。
魔族のいる魔界と人族の住む人界を分けるレッドエンドウォールという壁のような山脈の麓に存在する魔族との第一線である。
魔界は人間には多すぎる空間魔力が霧のように目視できるほど存在するため、魔界のことを『死霧魔界』と呼ぶこともある。
多すぎる魔力は人間には毒となり、レッドエンドウォールはそれを防ぐ効果がある。
しかし、空間魔力は山脈を越えて少量ずつ流れ込むため、グランデリアには王都と比べ格段に危険な場所となっている。
ここに住んだり、滞在したりするやつは魔力
しかし、そんな奴らが魔族の進行を防いでいるのは事実。
王都からのたくさんの金銭的支援、優秀な回復魔法を使う高位神官の派遣、優秀な鍛冶師などの支援が行われている。
魔族には人族にはない身体的特徴を持つ者や優秀な武具を持つ者、上級魔族がもつ固有能力を持つものも存在し、打倒したものが手に入れることができる。
身体的特徴部位を武具化したり、固有能力を具現化、武具化するなどの技術が人族では発展した。魔族には魔族でぶつける。
また、空間魔力が多いため、強力な魔獣が多く形成され、厄介な存在となっている。
そんな場所にやってきた理由はもちろん魔族魔獣の討伐プラス特訓。
この空間自体にはすでに慣れており、上級魔族の打倒もすでに成している。
ここには新しい武具の調達と足りない素材の調達と製作、そしてレッドエンドウォールを越える許可を取ること。
そのためにまずは、冒険者組合に。
大きく高いレンガ造りの8階建ての建物。
入口には重厚な扉。
ガチャ……ギィィィィィィィィ……バタンガチャ
一階は受付兼飲み屋のようだ。
図体のデカい屈強な男が多く、ガヤガヤと騒ぎながらエールを飲んでいる。
エールはあまり好きにはなれなかったので飲むのは後にして、先に素材の換金の受付を行う。
見た目麗しい受付嬢が多く並んで仕事をこなしている。
「いらっしゃいませ、本日のご用件はいかがなさいましたか」
「こんにちは。今日は素材の換金をお願いしたいわ」
「わかりました。では冒険の書をお預かりしてもよろしいですか」
「ええ。ではこれを」
冒険の書を渡す。
「はい。たしかに。……!! アレキサンダー・ナイトライト……も、もしや『覇王』様でs」
ガタンッ!!
昔にいただいた名前を呼ばれて、慌てて受付嬢の口を閉じさせる。
「その名前は、ね?」
「し、失礼しました」
(は、覇王だと⁈)(生きていたのか‼)(何年ぶりだ)(その名をまた聞けるとは)
ドスンドスン
若い偉丈夫がこちらに足音を響かせ歩いてくる。
「こうなるから嫌なのよねぇ」
「おう、兄ちゃん」
「なあに? 坊や」
「今、久しく聞いていない名前を聞いたんだが、『覇王』とか」
「……はぁ、そうね」
「兄ちゃんがそうなのか」
「……そうね。若気の至り、ってとこよ」
「その名は捨てたのか?」
「そうね。今までは捨てた気でいたわ」
「でも、今考えたら、また広めた方がいいかもしれないわね」
「おう、そうか」
「聞けぇぇぇぇぇぇ!!! みなどもぉぉぉぉぉ!!! ここにグランデリア支部冒険者組合ギルドマスターが宣言する!! 長い間生死不明の伝説の1人『覇王』がここに復活したぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
『『『『『オオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!!』』』』』
「はぁ……。じゃあ、お嬢ちゃん、これの換金をお願いしたいわ」
「ちょっ⁈ 多いっ!! 地下で清算しますので、こちらにお願いします!!」
~~~~~~~~~
ここまで読んでくださりありがとうございます。
ここにきてようやく主人公の名前を出すことが出来ました。
背格好を作中でですことはないと思うのであとがきで失礼します。
身長182cm、体重64kg、少し長めの赤みがかった黒髪の優男。筋肉が程よく付き、ここに来るまでの装備は銀色の軽鎧と長剣を腰に、腰に自作の異空間袋を下げ、軽鎧の上からポンチョ風の黒のフーデッドコート装備。
『覇王』は前話にあった名乗るのが恥ずかしい二つ名で、ジョブではない。
『覇王』は10年前に大きめ討伐依頼を単独で攻略したのち行方不明となっていた。
現在29歳。
たぶん、ここに出ていない情報は作中で出していくので気になったら、コメントで言ってくれたら早めに出すかも、シレナイカモ。
見づらさや、読みにくさ、誤字脱字があればコメントにてお知らせください。
ありがとうございました。
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