第13話大内動く
その知らせは想定内ではあったが、できれば外れて欲しいものであった。
ついに大内が大三島攻略に動いたのである。その数、小早40艘・関船10艘ときけば大内がどれほど本気かわかる。
小早1艘に15名・関船1艘に40名とすれば総勢1000名にもなる。
来島と能島が合わせて30艘の小早である。
援軍を送ったところで二神・忽那合わせて小早は20艘で数の上では負けてしまう。知識の通りに勝ったとしても被害が大きい上に1年以内にあと2回、大内との戦がある可能性を考えると、ここで大打撃を与えておきたいところ。そう考えた晴通は切り札を使うことにした。
「忽那通乗くつな みちのりと二神重直ふたがみ しげなおに伝令を。新型のお披露目をする。俺も出る関船の出航用意を!総力戦だ。」
晴通は関船3小早5小早改8を引き連れて三津浜港を出発し大三島を目指した。
晴通が戦場である大横島付近に到着した時は流石は村上海賊と思った。うまく潮流をうまく使い数の不利をカバーして善戦しているが、あと数刻遅かったら壊滅していたかもしれない程のギリギリの戦局であった。
「手筈通り太鼓を打ち鳴らしながら本体は村上と合流する。忽那・二神は小早改8艘をもってして体制を立て直す時間を稼げ」
「承知しました」
「任してください」
それぞれ返事をして大内へと向かっていく。
小早改と名付けられたそれは、サイズこそ小早だが全く違う別物となった。
竜骨をいれ剛性をあげフィンスタビライザーとアウトリガーで安定性を上げフランキ砲を1門船首に取り付けられているのだ。
開発に2年と量産に2年かけて虎の子の8艘が完成したのだ。
「斉射・・・打てぇ!!」
忽那がそう叫ぶと4艘は石という名の弾をドォンという轟音とともに吐き出した。
轟音が鳴り響き3つの水柱が上がった。
「命中1小早です。被害小破」
「よくやった!次の装填まで距離をとる」
忽那が大内と距離を取っている間に二神の4艘が大内を狙う。
「敵は混乱している!我々の一撃で決定打にするぞ。・・・打てぇ!!」
二神がそう叫ぶと4艘は、またも石という名の弾をドォンという轟音とともに吐き出した。
轟音が鳴り響き3つの水柱が上がった。
「命中1関船です。損害は軽微」
「よし!当てただけで充分だ。相手と距離を取るぞ。急げ」
大内側の武将、白井房胤は混乱していた。河野は鉄砲とは違う何かをもっている。それも鉄砲より強力なものだ。
「このまま後退して体制を整える!下がれ」
大内側は我先に撤退を始めた白井は種子島を知っていたが兵は知らなかった。爆発音がしたら水柱が上がったあんなものが自分たちの船に当たったらと考えると恐怖しかなかったのだ。
小早改は最初に距離を取ったので追撃戦に参加できなかった。
だが結果として大内は潰走となり河野・村上の追撃を受けて関船1・小早3を撃沈された。
「殿、援軍助かりました」
村上武吉と村上通康は揃って晴通のもとへ来て礼をのべる。
「あの新兵器は凄いですな。あれが種子島というやつですか?」
村上通康は晴通が種子島を手に入れていると聞いていたのでそうだろうとあたりをつけたのだ。
「いや、あれはフランキ砲と言って種子島をより大型にしたようなものだ」
「なんと!なれば、あれを大量に作れば敵なしの最強艦隊ですな」
「そう簡単にはいかんのだ武吉殿。生活に必要な職人もかき集めて船づくりに参加させたし木材もかなり必要とするため民の生活を考えたら外から買ってこないといけないし、なにより鉄か青銅でフランキ砲は出来ているのだがどちらも伊予では取れん。なので今は領地が広がるまでは、あの8艘までと考えている」
「わかりました。増産の際は村上にも売ってくだいますか?」
「その時次第だが考えておこう」
毛利や豊臣に寝返るかもしれんから考えるだけだ
「はっ。肝に銘じておきます」
対鉄鋼船を考えたらここで満足は出来ない。
20年以内に試作して織田・豊臣までには戦力を整えないと。
その為には石高を上げるのは必須だが資源も必要。家臣団は落ち着いたろうし大内は手を出してこないだろう。東の備えも黒川なら十分であろう。
と言う事は…いや盛国と友直の話を聞いてからにしよう。
後書き
1546年2月と8月に越智郡の島を攻撃
1547年5月に越智郡の島を攻撃
くらいの情報しか探せませんでした。大内が何のために攻撃してきたのか不明でしたので大三島欲しさと言う事にしておきました。
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