第10話 和田家
和田道興は気にいらなかった。
晴通は垣生や大野を多用し自分には真新しい事は何の命も来なかったのだ。
また、得意の合戦でも声はかからなかったのを見るに期待されてないのでは?と考え始めた。
これは殿に対して自分の有用性を見せなければいけないと思い悩んでいた時に黒川が来てある話をもってきたのだ。
「和田殿、ともに戒能を討ち領地を奪いましょう。そうすることによって殿に大野と垣生以外にも人材はいるのだと示せますし何より今だに古いやり方の戒能では先がありません。」
「だが勝手に兵を出すわけにはいかん・・・。」
黒川「ですが示せないと始まりますまい?」
(確かに示さなくては始まらない・・・か。)
悩んだが勝手に兵を出すのは許されない。だがここで話に乗れば領地を得るだけでなく有用性を殿に見せることもできると。ならば黒川の策に乗り戒能を攻撃しよう!!
「分かったそこまで言うのなら黒川殿に賭けてみよう。」
「ありがとうございます。桜三里を越えたら狼煙を上げますので、和田殿は、それに合わせて出撃して下さい。」
「分かった。」
この時、黒川と約束したのは失敗であった。殿はちゃんと見ていたし機会を待っていたのだろう。
殿の使いの者が来たのだ。
だが、もう手遅れだ黒川との約束を反古にもできぬので適当な嘘を並べて断った。これで完全に後戻りできない。
何としても城を落として見せなければいかなくなった。
最初は良かった数の勝負で押し込めると思った。
黒川「和田殿これは思った以上に楽な戦いになりそうですな」
和田「うむ。確かに黒川殿の言われる通り」
だが実際は戒能の時間稼ぎだったのだ。軽く当たった後に様子見をして翌日の朝には引いていたので夜中に戒能は城に引き上げたようでそれ以降は城から出てくることはなかった。
だからこそ、このまま押しつぶせばいいと思ったがそう上手く行かなかった、弟の道宣様が二神と重見を連れて来ていたのだ軍勢は700はおり、しかも殿の戦専属の兵が来ていた。これでは勝ち目がないし、そもそも道宣様と争っては不興を買ってしまう。
道宣様は私と黒川に引くように言うのでシブシブ頷き自陣に戻ろうとする中で黒川はつぶやく。
黒川「和田殿は納得できますか?このままでは何のために桜三里を超えてきたのか分かりませぬ」
和田「だが仕方なかろう?これ以上は不興を買う事になる。そこまではこちらも本意ではない。」
黒川「ですが、このままでも納得できません。せめてこのまま城を落として見せれば道宣様も考えが変わるのではないでしょうか?」
和田「本気でやるのか?」
黒川「勿論本気です。それを道宣様の目の前で示せれる機会です。」
和田「確かにそう考えることもできるか。では戻ったらスグに攻撃しよう。」
黒川「勿論です。では、和田殿よろしくお願いします。」
そしてそう考えたのは間違いだったとスグに思い知る。
何故だ?道宣様が我らを攻撃してくるのだ?分からぬがこのままでは危険だ。急ぎ引き上げたのは正解だったようで奇跡的に負傷者はいても死者はいなかった。
もしくは道宣様が殺さぬように言っていたのかもしれん。
ただ黒川殿は最後まで抵抗したために打ち取られたそうだ
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