第8話須之内の合戦
伝令を下がらせて改めて3人で話す。
晴通「黒川が動いたか・・・。」
盛国「歴史は変わっても人が変わったわけでは無い。と言うことでしょうか。」
友直「そうだな。悲しい事だが、そういう事だろう。殿、史実通り私が出ましょうか?」
晴通「重見・和田で対処しようと思う。佐礼谷の合戦の際に損耗してしまっているだろう?それに友直ばかり働かせてもいかん。周りとの調整せんとな。シイタケが軌道に乗れば、それだけで大きな成果となるが。これ以上、他の家臣と差が開けば不和の元となるだろう。それに暴れたら和田の不満もマシになるだろうしな。」
史実では黒川と大野利直が戒能を攻めて領地の一部を取られるも黒川道俊は討ち死にしているのだが今回は佐礼谷の合戦もあり大野は兵力的に不安な事もあり話もきていなかったようで黒川は別の武将に声をかけていた。
2人が帰った後に晴通は和田に送った伝令が戻ってきたので報告を受けていた。
晴通「和田で追い返されただと?」
「はい。戒能家は和田家の近くで村々で不安が広がっているので、その不安を取り除くために自分は動けないので従えぬとの事です。」
晴道「それなら仕方ない・・・か。そちも下がれ。ご苦労だったな。」
和田がそんなに村人達を気にかけるような性格とは思えぬ。どちらかというと率先して突撃していきそうなタイプなのだが何かある?
清月との連絡役を呼び和田を調べさせる事にする。
次にするべきは和田氏以外になると誰にするかだが・・・二神にするか佐礼谷で暴れれなかったからな。だが重見氏・二神氏だけでは戦力が足りぬからその分は道宣を行かすか。
今回の場合だと仲裁が目的になるから道宣に任せた方がいいだろう。
道宣を呼び事情を説明する。
晴通「黒川氏が勝手に兵を起こし戒能氏を攻撃せんと動いておる。戦の目的は領地を広げたいと言った所だろうが詳細を聞き仲介して欲しい。ただそのまま戦になる危険もある兵は二神・重見に、お前の兵合わせて700を当てる。頼んだぞ?」
道宣「はっ!被害を抑えるべく尽力します。」
兄上は変わられた。あの病の日から何かがあったのか湯水のように新しい方策をだしては成功されている。だが戒能のように昔ながらのやり方が良いという者も一定数いるのも事実、本来なら戒能を攻めさせておいて黒川に報酬として多少の領地を与えて残りは河野家の領地にしてしまって新しい農法を強制させてもいいのだが、それをしないと言う事は兄上的には農民も家臣も大事にしたいと言う事だろう。以前に言われていた通り伊予の平定が目的なら中に敵を作っている場合ではないからな。
重見氏・二神氏の両軍が来るまで自分の兵300を見て思うのはたった一年とは言え専業の兵として雇い入れた者たちの頼もしい事これならこの300でも十分ではないだろうかとも思ったが兄上曰く「人は時間がかかるから被害は少なくしてくれ」との事だが兵に優しさを見せるあたり良い兄を持ったと思う。
そんな中、清月の使いがやってきたのだがその知らせに驚きを隠せなかった。
和田が黒川に呼応して戒能氏を攻めたのである。
黒川も兄上が動くことを想定したのか強行軍で山越をし狼煙を上げて和田と同時に攻めたという。
戒能も想定外で兵に大きな被害は出なかったものの小手ヶ瀧館から大熊城に移り籠城しているとの事なのだ。
急ぎ行きたいが丁度、重見・二神が到着したので部隊を再編する必要がある。
重見通継しげみ みちつぐ・二神重直がやってきたので状況を共有する。
重見「ならば急ぎ救援に行きましょう!戒能氏もいつまで持ちこたえるか分かりません。」
道宣「ええ。ただ戦にもなりますので再編はしたいのでよろしくお願いします。」
二神「はっ。再編を急ぎましょう!」
大熊城に立てこもった翌日、戒能道運かいのう みちゆきはイラだっていた。
「くそ!何故、我が領地が黒川のような最近になって出てきたものに攻められなくてはならん?この戒能家は河野家の分家にして5代奉行職のひとりであるこの戒能が!!最近の殿の奇行から黒川に舐められるのだ。」
「伝令!黒川桜三里を超えて来ました。」
「よし!打って出るぞ!道森は兵糧を大熊城に1日で可能な範囲で移動させておけ!!」
「はっ!」
小手ヶ瀧を井内川沿いに下り表側との合流する平野にて陣を敷いたことにより結果として戒能は和田・黒川の挟撃を避けることが出来たが数的不利を覆すことは難し。
「狼煙が上がったと思えば和田も出てくるとわ。これで300対800か守勢と言え厳しい戦いになるかもなしれんな。」
戒能伊織かいのう いおり「黒川・和田が動きました!来ます。叔父上打って出ましょう!!我等戒能家14騎の力を見せましょうぞ!!」
戒能伊織(女性と言う事で筆頭にこそ、なれなかったものの高く評価されている。)
道運「その意気やよし!黒川・和田を蹴散らしてくれよう!!」
戒能は守勢にまわらなく攻勢に出たが最初は勢いよく和田・黒川を押したがその後に態勢を立て直した和田・黒川に単純な数の計算になり徐々に打ち取られていく戒能氏の14騎の上野兵庫介・大野右近が打ち取られてしまったが何とか堪えた。
そして、その日の晩に戒能は大熊城に撤退して籠城することにした。
道森「父上も伊織も無事でよかった!」
伊織「道森様も無事に作業は出来たようで何よりです。予想外に和田も出てきておったので上野と大野がやられてしまいましたがあとは殿の軍が動くのを待っていれば負けはしませんな。」
道運「うむ。あの殿なら援軍にやってこよう。甘いがその甘さで救われるとはな。」
翌日大熊城を包囲されたがこちらは井戸もあり立て籠もるには良かったので数で負けていても持ちこたえることが出来ていた。
そして昼お互いに一度休憩のために引いて昼を食べている時に来た。
道運「あれは?道宣様が来られたのか?」
和田・黒川のさらに後方に軍団が来ていた。
そして道宣は黒川・和田を呼び事情を聴いていた。
道宣「黒川殿此度の出兵は行かな理由か?」
黒川「はっ!戒能氏は殿の新しい農法をせずいまだに古きやり方です、そのせいで民は周りとの格差に歯がゆい思いをしていることと思い私と和田氏で農民の為に兵を起こしたのです。」
和田「黒川殿のおっしゃる通りです。我らは農民の為に立ち上がったのです。」
道宣「その割には和田殿は兄上からの要請を断ったそうですが?」
和田「はっ!敵をだますにはまず味方からと申しますれば苦渋の決断でした。」
道宣「そうか、分かったこれからは私、道宣が抑える為お二方は帰られよ。」
黒川「道宣様、それでは兵が納得できませぬせめて今、落としている領地だけでも我らにお与えください。」
道宣「それは出来ぬ!二人が勝手に兵を出さなければ、このような事にはならなかったのだ罰がないだけよいと思ってほしい。」
というと恨めしそうな目で睨みつけて自分たちの陣へと戻った。
重見「あれは分かりやすく納得してないですな。」
二神「ああ、これはもう1戦やるな。」
と二人が短く呟く。
犠牲は出てしまうが仕方ない1戦して無理にでも納得してもらうしかない。
そして黒川・和田は帰るそぶりを見せて大熊城を攻めたが勿論落ちるわけもなく背後を道宣が攻撃してきたことにより黒川通矩は討ち死にした。
結果として史実通り養子の黒川道尭が黒川家の新当主になった。
和田も死者こそ出なかったが兵が損耗したのもありスグに何かをすることは出来ないでいた。
また和田・黒川に関してはお咎め無しで誓約書で臣従する旨を書かせた。
ここに須之内の合戦は終わった。
後書き
黒川道尭は1547年に来たんですが早く来ちゃった
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