魔王誕生③

終わった頃には既に昼が過ぎていて、なんなら夕方に近くなっていた。

「……やり過ぎたかな」

ベッドで眠っているロキの体を横抱きに持ち上げる。

お詫びの気持ちを込めて用意した風呂の中で丁寧に汗だらけの髪と体を洗う。念のため散々中出しした精液があるか指を入れて確認したけど、しっかりと綺麗に吸収されたようで、ローションが少しだけ残っている状態だった。

「今度はもっと奥に出してあげる」

ロキは知らないだろうけど、角度を変えればもっと奥深くまで挿れられる。これはロキが前立腺だけじゃなく、奥でも感じられるようになってからにしよう。洗った後、洗濯したばかりの白いタオルで髪と体を拭く。その時黒い髪の中に一本だけ違う色の髪を見つけて手が止まった。嬉しくて思わず微笑む。

「……うまくいきそうだよ」

(ここも準備しないとね)

髪の次は右耳を撫でる。早くここにピアスをつけているのを見たい。見てしまったらもう手放してあげられなくなるけど、それを望んだのはロキだ。

「一緒に生きよう、ロキ」

祈るように、呪いのように小さく呟き、そっと触れるだけのキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る