第27話 ヒュドラ討伐

「王命である。ヒュドラが王都に迫っている。討伐を命じる」


 おいおい、また王命かよ。

 ヒュドラは強敵だが二酸化炭素か、氷の棺で何とかなるだろう。

 王家にたくさん貸しを作っておくのも悪くない。


「かしこまりました」

「喜べ。今回のことが成ったあかつきには、公女のシャリアンヌとの結婚を許そう」


 おいおい、あんなツンツン女は嫌なんだが。


「それは保留でお願いします」


 玉虫色の回答と言う奴。

 こうして時間を稼いでうやむやにする予定。


「いや、ファットピッグ侯爵は承知している」


 あの糞親父が。


「公女様の意向を確かめる期間を下さい」

「意向など婚約期間に確かめればよかろう」


 そう言って役人は去った。

 婚約なら破棄も出来る。

 できるよね。


「フラッチェ、ディータ、今回はドラゴンと並び立つほどのモンスターだ。気を引き締めろ」

「ええ」

「はい」


 黒いヒュドラの巨体が見えて来た。

 黒いオーラが体から立ち昇っている。

 邪気だろうな。

 俺は邪気なら分かる。


「やれ」

「見てなさい。【性魔法】二酸化炭素収集」

「はい、了解です。【性魔法】二酸化炭素収集」


 ヒュドラは死んだ。

 死体から邪気を吸い取る。

 だが毒が凄い。

 ヒュドラのいる場所を中心に草が枯れていく。


 そう言えば、毒浄化の魔道具が余っていたな。

 魔力を込めて起動して次々に置いていく。

 草の枯れるのが止まった。


 ネジル教の信者達を呼んだ。

 信者は俺が毒浄化の魔道具に魔力を込めると地面に置いて行った。


 草の枯れた道がある。

 ヒュドラが進んだ道だ。

 巣になっている所まで、魔道具を置いて行かないといけないのか。


「魔力ならいくらでもある。よきにはからえ」


 信者が俺の所に魔道具を持って来る。

 俺が魔力を込めると一礼して、浄化の魔道具を置きに行った。


 この行為は1週間も続いた。

 そして、終わったと思ったら、シャリアンヌが来た。


「くっ、何一つあなたの思い通りにさせない。惨めな思いをさせてあげるんだから」


 話し合いもくそもないな。


「婚約破棄なら俺もしたい」

「あんた馬鹿。できるわけないでしょう。王命なのよ」


 それは参ったな。

 ディータが俺の脇腹をツンツンと突く。

 えっと何。


「調教してしまえば、よろしいのではないでしょうか」


 小声でディータが恐ろしいことを言う。


「身内にいる敵ほど始末に負えない」


 小声でフラッチェも言う。

 くそっ、お前ら責任とれるんだろうな。

 分かったよ。

 調教してやるよ。

 自棄だ。


 魔力棒をシャリアンヌの中に突っ込んで流動させた。


「あっ」


 シャリアンヌがふらつく。


「シャリアンヌ様どうされましたか」


 メイドが駆け寄った。


「気分が悪いらしい。長椅子に寝かせたら」


 長椅子に寝たシャリアンヌが絶叫。

 メイドはおろおろするばかり。

 そしてシャリアンヌは気絶した。


 しばらくしてシャリアンヌが目を覚ました。

 ディータがシャリアンヌに耳打ちする。


「シャリアンヌ様はそそうしたらしいです」


 ディータがそう言って着替えタイムになった。

 もちろん覗かない。

 入っていいとメイドに言われたので部屋に入る。


「くっ、私を自由にできるなんて考えないことね。でも毎日来てもいいんだから。あなたを虐めてあげるわ。待ってなさい」


 いや、そんなに魔力棒を気に入ったのか。

 シャリアンヌにも性魔法が生えたんだろうな。

 その事実が貴族社会に広まったら、恐らく俺以外とは結婚できないな。


「はいはい」

「クッキーを焼いてくるけど勘違いしないで、塩と砂糖をわざと間違えてやるんだから」


 はいはい、不味かったら捨てるから良いよ。

 シャリアンヌが去っていった。


 フラッチェがジト目で俺を見る。


「何だよ?」

「着実にハーレムが出来ていくなと思って」

「ご主人様さすがです。一瞬で調教しましたね」


「どうせ結婚するなら別にいいだろう」

「私達も貰ってくれるの」

「私は一生ご主人様についていきます」


「まあ仕方ないか。お前達が離れない限り見棄てない」


 ついに外堀が全て埋まった感じだ。

 それもこれも性魔法がいけないんだ。

 いや、魔力棒を作った俺が悪いのか。


 次の日、特注の台車に載せられたヒュドラの巨体が、王都の街に入ってきた。

 シャリアンヌ、フラッチェ、ディータとその様子を見物する。


「これっ、言っておくけど捨てたら泣くんだから」


 シャリアンヌからクッキーの入った巾着みたいな袋を貰った。

 どれどれ、ひとつ食べてみるか。

 クッキーには塩と砂糖が絶妙なバランスで入っていた。

 癖になる味だ。


「美味しい」

「塩クッキーが美味しいなんて貧乏舌ね。残さず食べなさい。残したらもっと嫌いになるから」


 見物しながらクッキーを全て食べてしまった。


「お替わり」

「嬉しいなんて思ってないんだから。明日持ってくるから待ってなさい」

「お嬢様は昨日ほとんど寝ないでクッキーを焼いたんですよ」


「ちょっと。黙りなさい」

「じゃあ長椅子で寝るか」

「うん。屈服したわけじゃないだからね。もちろんあれをお願い。本当に眠たいだけなんだからぁ」


 シャリアンヌが可愛く頷いた。

 帰ってから3人は嬌声からの絶叫した。

 メイドもさすがに何が行われているのか分かったらしい。

 顔を赤くしてたが、ことが終わったらテキパキと下着を着替えさせたようだ。


 そのうちシャリアンヌもパワーレベリングするか。

 また邪神教が攻めて来るに違いないからその時にでも。

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