第5話 武闘大会
武闘大会が始まった。
ルールはトーナメント方式だが、リードと俺は1回戦で当たる。
あいつ、やらかしたな。
確かに元ブタキムも買収してたが、同じ所まで落ちる必要はないだろう。
俺が言ってもたぶん駄目だろうな。
ライラあたりが注意すれば良いが、仕方ない。
「ブタキム対リード。構え、始め」
「【封印】」
今回の封印は掛った感じがする。
俺のレベル差を覆すとはな。
「ステータス」
――――――――――――――――――――――――
名前:ブタキム・ファットピッグ
レベル:1(426845)
魔力:199330322094/199330322094
スキル:
供与
――――――――――――――――――――――――
なんだレベルが封印されただけか。
「【俊足】」
リードが俊足スキルを使う。
魔力があるなら問題ない。
剣に魔力を集中して振った。
魔力の刃が飛ぶ。
乱れ打ちだ。
適当に刃を飛ばし、避けるリードとの戦いになった。
だが、リードのスピードがガクっと落ちる。
魔力切れだろう。
魔力の刃でリードは打ちのめされた。
安心しろ刃は鋭くしてない、峰打ちだ。
「くっ、正義は勝つ」
封印して殺そうとした時点で正義じゃないんだよ。
気づけよ。
容赦なくめった打ちにしてやった。
「降参する。試合には負けたが、勝負には勝った。僕が味わった、レベル1の苦しみを味わえ」」
封印は解けた感じがしない。
スピードとパワーが失われている。
おー、レベルの封印を解くつもりはないのか。
しかし、俺のレベルを封印するのに何を犠牲にしたのやら。
どこまで落ちたのかな。
辞めたほうがいいと誰か警告してやれよ。
友達いないのかな。
そう言えばブタキムが虐めている時に庇った奴はいない。
可哀想な奴だな。
「タオルです」
ディータがタオルと飲み物を差し出す。
「おう」
「ディータさん、耐えて下さい。必ず助けます」
ライラが来てそんなことを言う。
ディータは困惑している。
「リードはおかしくないか」
つい言ってしまった。
「あなたに言われる筋合いではありません」
「俺のレベルを封印した方法が邪法のような気がする」
「戯言を」
「信じないなら良い。邪法は必ず報いがくる。警告はしたからな」
きっとろくでもない方法を使ったんだろうな。
「ディータ」
「はい?」
「【供与】生命力【供与】生命力【供与】生命力【供与】生命力。うん怠くならないな。生命力も封印されてないか。中途半端だな」
まさに無能の働き者。
頑張ったつもりなんだろうな。
一矢報いて今頃は祝杯を上げているのかも。
生命力の供与ができるのなら偽善するのに支障はない。
物理戦闘力などどうでも良い。
それに供与スキルがあればダメージを負っても元通りだ。
レベルを封印されたまま俺は決勝まで勝ち上がり、決勝の相手を倒した。
だって魔力を服に込めると、ミスリルの鎧みたいに頑丈になる。
相手にいくら攻撃されてもノーダメージ。
剣から魔力刃を飛ばす遠距離攻撃は魔法の魔力弾並みの威力がある。
それが無限に撃てるのだから、負ける要素などない。
リードが俺のもとへ来た。
「お前のバックは教会か。試合前にバフを掛けて貰ったのだろう」
「なに言っているんだ」
「惚けても無駄だ。僕のバックは教会より強大だ。いずれお前を完全に封印してやる」
「悪いことは言わない。やめておけ」
「命乞いか」
「そうじゃない」
何を言っても無駄だろうな。
強大なバックがどんなものか分からないが、どうせろくでもない。
「僕のバックは正義の秘密結社ジャスティスだ」
「おいおい、名前言ったら秘密でも何でもない」
「上げ足取りが上手いな。正義の名の下には全ての悪は滅びる。あの方々は無償で僕を支援してくれるんだ」
こいつ、駄目だ。
洗脳されている。
善人も秘密結社に悪人だと言われれば、躊躇なく手に掛ける危うさがある。
ただより高い物はないんだよ。
教会も守銭奴でろくでもないが、あっちは金さえ払えば身分関係なしに治療する。
まあましだとは思う。
教会はそういう意味ではまともだ。
じつに人間臭いがな。
ただで支援するなんて胡散臭いにもほどがある。
反転の宝珠なんていくらすると思っている。
封印スキルのブーストアイテムもそうだ。
そんなのをただでくれるなんて胡散臭いを通り越して、もう有罪だ。
秘密結社ジャスティスか調べるしかないな。
俺は騎士学園の図書館で調べたが、そんな秘密結社は歴史にも現れていない。
昔からあるなら、噂ぐらいにはなっているはずだ。
最近、強大な組織がパっと現れる。
あり得ないだろう。
恐らく別の名前なんじゃないかな。
でなければリードが口を滑らせた時点で、リードと俺の所に殺し屋が来る。
秘密結社ならそれぐらいしてもおかしくない。
とりあえず秘密結社ジャスティス(仮)の目的は何だ。
俺の抹殺なら、反転の宝珠を使ってからうむも言わさず殺していたはず。
何か計画に手違いがあったんだな。
そんな気がする。
リードがミスったのかも知れない。
まあ、完璧な計画などない。
秘密結社ジャスティス(仮)はたぶん悪人だ。
そのうち白日の下に晒してやらないと。
大きな力を持っている俺の役目じやないかと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます