第4話 奴隷
騎士学園は居残り授業が無ければ、午後2時に終わる。
俺は優等生になったので居残りはしない。
冒険者ギルドは情報収集のためか、休養期間中だろう冒険者がかなりいる。
「胸の神様。次はいつ施術してくれるんですか」
女冒険者に詰め寄られた。
「太ったらな」
「では一緒に食事しましょう。大盛りを食べないと」
冒険者ギルドの大盛りは凄そうだ。
食えるかな。
デブって食べるからってのもあるけど大抵は運動不足だ。
痩せの方が大食いはいる。
まあ、3時だ。
おやつ代わりに食おう。
太ったら、また豊胸だ。
「こちらは、パスタ大盛り。私はソーセージ盛り合わせとエール」
「はいよ」
出て来たパスタ大盛りの皿は50センチぐらいありそうだ。
「こんなの食えるか」
「余ったら私も貰うから。さあどんどん食って太って。アーンしてあげる。アーン」
他の女冒険者アーンに参戦。
くそっ、胃袋が大きいと言っても限界はある。
半分も食わないうちに腹いっぱいになった。
「アーン」
「アーン」
「アーン」
悪夢になりそうだ。
「ブタキムが嫌がっているじゃない。嫌われたら豊胸してもらえないわよ」
「フラッチェ、ありがとう」
「余りは食べてあげる」
「助かる。本当に助かる」
フラッチェ達がパスタを突く。
腹ごなしに運動したら、きっと止められそうだ。
女冒険者達が見てない場所で運動しよう。
「フラッチェ、最高の偽善って何かな」
豊胸施術で金はたんまりある。
パーっと使いたいが、偽善したい。
「奴隷を買って、すぐに開放とかどう。生きた魚を買ってすぐに放流とか教会がやってるわね。それと同じよ」
生きた動物とか買って、放つと、徳が積めるんだったな。
日本でもそんなのが在ったな。
時代劇で見た。
それを奴隷でやるのか。
良いかもな。
奴隷商は実家に問い合わせたら、すぐに分かった。
実家から紹介された奴隷商は、小綺麗な建物で、中に入っても嫌な匂いがしない。
「驚かれましたか。うちは真っ当な奴隷商です。檻に入れて糞尿垂れ流しの違法奴隷商とは違います」
「ふむ。ところで死にそうな奴隷はいるか」
どうせ助けるなら治療してやろう。
「はい、ございます」
「安いんだろうな?」
「もちろんでございます」
案内されたのはベッドが並ぶ部屋。
息が荒くて、顔が赤いやつらばかりだ。
「全員で金貨、200枚で足りるか?」
「もちろんです」
金を払ってベッド脇に立つ。
「【供与】生命力」
病人の息が通常に戻った。
「苦しくない」
「立てるか?」
「はい、ご主人様」
「【供与】生命力【供与】生命力【供与】生命力【供与】生命力」
「やめて下さい。ご主人様が死んでしまいます」
「奴隷なら黙ってろ」
こんな感じで全員を治療してやった。
「お前達を解放する。さあ、並べ。奴隷契約解除してやろう」
「良いんですか」
「お前らは食い詰め者だ。こういう奴らを大量に放つのは悪行だ。くっくっくっ」
「では我らに悪を成せと」
「自由に生きるが良い。自由は秩序の反対だ。実に悪だ」
「はい、自由に生きます」
全員を奴隷解除したが、なぜかひとり残った。
「物心ついた時から奴隷なので、自由に生きろと言われてもどうしたら良いか分かりません」
「好きな場所に行ったら良い」
「ではあなたについて行きます」
そう言って彼女は外した首輪を着けた。
「その首輪はやめろ。チョーカーを買ってやる。名前は?」
「ありません」
「じゃ、ディータだ。出会いの良き日ということで」
「かしこまりました。ディータとお呼び下さい」
「おう」
ああ、奴隷を抱えてしまった。
たが奴隷解放している。
使用人だと思えば良いか。
騎士学園にディータを連れて戻る。
「奴隷か?」
門番が尋ねる。
「はいそうです」
ディータが答えた。
可哀想になと門番の目が語る。
無下には扱わないさ。
奴隷じゃないからな。
「ディータ、俺の評判があるから、俺が言うことと実際の扱いが違っても何も言うなよ」
「かしこまりました」
廊下でリードとライラに出会った。
「お前、ライラが好きできないからって代わりを連れてきたのか。君、つらいなら言え。こいつをぶん殴っても止める」
「ディータは奴隷です。つらいなどという感情はありません」
「ブタキム、奴隷解放してやれ」
「嫌だね。ライラが再び俺の奴隷になるなら別だが」
「最低ね。リードなんとかならない」
「おい、ブタキム、俺が冷静なうちに解放しろ」
「嫌だ」
「そうか。武闘大会でお前を殺してやる。そうすればこの子は解放される。すまない君、その時まで待っててくれ」
「ディータ、行くぞ」
「はい」
「ぐへへ、これから楽しいことしような」
「はい」
「最低。姿は変わっても中身はブタキムのままね」
「ライラ、ここでは殺せない」
「ええ、分かっている」
ディータを部屋に入れると、ディータが脱ぎ始めた。
「ちょっと待て」
「何か違いましたか」
「大間違いだ。楽しみとはゲームだよ」
ディータに色々なゲームを教えてやった。
頭は悪くない。
ルールはすぐに覚えた。
「確かに楽しいですね」
「そうだろう。明日、リードに会ったら、楽しくてぬれぬれだったですと言うんだ」
「はい」
リードが暴走しないようにしないとな。
敵意が俺に向いているうちは大丈夫のはずだ。
でないと何かやらかしそうなんだよな。
無能な働き者キャラの匂いがプンプンするから、もう手遅れ感がある。
邪竜の時に俺を殺そうとしたことで、たぶんねじ曲がってしまっているだろうから。
殺人をするともう引き返すのは無理だ。
あとはやらかさないように息抜きさせるしかない。
そう思う。
ただ手遅れ感はある。
だよな、未遂とはいえ人を殺そうとしたからな。
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